気になるアイテムを徹底分析

<気になるアイテムを徹底分析>店舗スタッフに聞く売れ筋商品――スマートフォン(2)

2015/04/23 16:51

週刊BCN 2015年04月20日vol.1576掲載

 MVNO(仮想移動体通信事業者)が新規参入してきたことによって、月額料金をリーズナブルに抑えた「格安スマホ」「格安SIM」が台頭してきたスマートフォン市場。自社でSIMサービスの提供を開始するなど、家電量販店にとってスマートフォン関連ビジネスモデルが変革しつつあるのは確かだ。そのなかで、端末にフォーカスしてスマートフォンの買い替えを促すパソコン専門店が出てきた。

 東京・秋葉原を本拠地とするドスパラでは、「大手キャリアの取り扱いを抑えている」と、松井崇悦・DLS事業部コンシューマサービス開発課通信グループグループ長は打ち明ける。実際、ドスパラでは中核店舗の一つだった秋葉原電気街のドスパラモバイル館を今年2月に閉館した。

 DLS事業部は、通信をベースに「デジタル・ライフ・サービス」を提供するために設置された組織だ。スマートフォン関連ビジネスは、その中核にあたる。にもかかわらず、大手キャリアの取り扱いを縮小しているのは「月額料金が手頃で自分好みのスマートフォンを使いたいというお客様が多いため」という。そこで、通信サービスの拡大という点でMVNOが提供する格安SIMの販売増にフォーカスすることになった。

 ただ、SIMサービスを提供するだけでは顧客が増えるとは限らない。そのため、「当社ではスマートフォン端末の買い取り・販売に力を入れている」と、店舗事業部リユース推進課の中谷等氏は説明する。秋葉原のドスパラパーツ館では、中古の買い取り・販売を行っているほか、格安SIMも販売している。

(写真左から)松井崇悦 グループ長、中谷等 氏、谷津雅英 氏
お客様は操作性の高い手頃な月額料金のスマートフォンを求めている

 ドスパラパーツ館で中古の販売・買い取りを担当するショップスタッフの谷津雅英氏は、「中古の端末とSIMカードをセットで購入する傾向が高い」としている。これは、買い取りに関して「ヘビーユーザーで最新機種を求めているお客様の多くが、新モデル発売のたびに端末を買い取りで持ってくる」からだ。そのため、中古の販売で新品同様の端末をリーズナブルに使いたいという顧客が自分好みの端末を求めて来店するというサイクルができているというわけだ。しかも、ドスパラでは月額680円でスマートフォンの破損や水没などで故障した際の修理をサポートする「モバイルセーフティサービス」を提供している。このサービスによって、「最近は(ドスパラパーツ館にとって新規顧客となる)デジタル機器にあまり詳しくないお客様が来店してくださる」と、谷津氏は満足げだ。

 ドスパラがMVNOに参入するかどうかについては、「まだ検討段階に入っていない」(松井グループ長)とのこと。現段階では、すでに参入しているMVNOのSIMカードと中古の端末でスマートフォン関連ビジネスが十分に成り立っているということになる。

ドスパラパーツ館には中古のスマ-トフォンが充実している
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