気になるアイテムを徹底分析

<気になるアイテムを徹底分析>店舗スタッフに聞く売れ筋商品――スマートフォン(3)

2015/04/30 16:51

週刊BCN 2015年04月27日vol.1577掲載

 スマートフォンの買い替えで、SIMフリー端末やSIMカードに対するユーザーのニーズが高まっているのは、今年5月からSIMロック解除の義務化が適用されるためだ。このような状況を受けて、家電量販店やパソコン専門店が「格安スマホ」や「格安SIM」などと銘打って、スマートフォン関連ビジネスの拡大に力を入れているわけだが、「昨年と比べると、実際に格安スマホの認知度が急激に向上している」と話すのは、ユニットコムの溝口英親・販促企画部課長。今年3月の時点で、スマートフォン関連ビジネスの売上高が「前年比300%の伸び」と自信をみせている。

PCユーザーがファミリーで「格安スマホ」を購入するケースが出てきた
溝口英親 課長
 ユニットコムでは、全国に点在するパソコン専門店のパソコン工房で、SIMフリー端末とSIMカードを販売。SIMフリー端末の主力はASUSTeK Computerの「Zen Fone5」だ。これに、IIJの「IIJmio 音声機能付きSIM」とセットにしたプランが人気を高めている。溝口課長は、「この組み合わせがビジネス拡大の起爆剤になっている」とアピールする。しかも、ASUSがワールドワイドですでに発売している「ZenFone2」の販売を日本で開始することを発表したことから、ユニットコムにとってはスマートフォン関連ビジネスが継続して拡大する。

 SIMフリー端末やSIMカードを購入する顧客層に関しては、「30代後半のPCユーザーがメイン」と溝口課長は説明する。ただ、そのユーザーが最近になって「ご家族が使うということで購入される傾向が高まっている」という。ファミリーで来店するケースも多くなった。そこで、パソコン工房では各店舗で「SIMフリーコーナー」と称して、メーカーや事業者のさまざまなSIMフリー端末とSIMカードを展示。1か所に集めることで比較しやすい環境を整えている。とくに、パソコン工房富山店では顧客からの要望でSIMフリーコーナースペースを、かなり広く確保している。「ほかの店舗でも、お客様が購入しやすいコーナーづくりに力を入れていく」との方針を示している。

 SIMフリー端末やSIMカードが売れることによって、今後、販売が期待できるのは「スマートフォンケースや充電用USBケーブル、バッテリなど周辺機器」と溝口課長は捉えている。これらのアイテムは、品揃えを増やしている段階で、現在では売上高が伸びているとはいえないものの「充実させているので、確実に伸びる」と断言している。

 今年5月のSIMロック解除の義務化によって、「大手キャリアが多くのユーザーを確保しているという現在の状況がなくなって、SIMカードの契約者が増えるのではないか」と、溝口課長は分析している。格安スマホに流れるユーザーも継続することから、PCを稼ぎ頭に据えるユニットコムにとってスマートフォン関連が第二の事業の柱になることは間違いない。

パソコン工房ではSIMフリーコーナーの充実に力を入れている(写真は富山店)
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