時代の趨勢とらえたプロダクト
自社のプラットフォームは「AI」「ノーコード」「内製化」と、まさに今を象徴するキーワードを内包するプロダクトだ。製品開発の背景には、データサイエンティストとして顧客企業のAI構築などを手掛けていたころに得た気づきがある。
自身はデータの専門家だが、顧客のビジネスには明るくない。一方、顧客はビジネスには当然詳しいが、AIへの理解は浅い。その齟齬(そご)によって、プロジェクトがうまく進まないことがあった。「ビジネスがわかる人が直接(AIを)構築した方が、いいものができるんじゃないか」。その仮説は時代の趨勢を見事にとらえることとなる。
マイノリティの概念なくしたい
昔から「マイノリティという概念をなくしたい」と思っていた。例に挙げたのはハサミ。左利きの自分にとって、右利き用に作られている一般的なハサミは使いにくい。ハサミは些細なことかもしれないが、「よくわからない不公平さ」は社会の至るところに存在している。
テクノロジーなら、その不公平さを改善できるかもしれない。
「AIにはパーソナライズという概念がある。一人一人に一番いいものを提案したり、使いやすいように最適化したりできる。個人レベルで(パーソナライズを)享受できるようになり、マイノリティであること自体がパワーとなる時代が来ればいい」
世界を「つくる」側に回る
掲げる理念は「テクノロジーで世界をつくる」。世界を「変える」のではなく「つくる」。世界を変えようとしても、絡みつくさまざまなしがらみに邪魔をされる。ならば「イチからつくった方が早い。世界をつくっていく側に回りたい」。
誰でもAIを使いこなせる世界が訪れれば、新たな社会のあり方さえ生み出せると信じる。「AIは人を物理的に豊かにした後、制度的にも人を幸せにしなきゃいけない」。「AI民主化」のその先に、新たな世界が待っている。
プロフィール
田本芳文
1989年生まれ。大学、大学院で理論物理学を研究。新卒でWebエンジニアとしてベンチャー企業に入社。その後、独学でデータサイエンスと機械学習技術を習得し、AI系ベンチャーに転職。データサイエンティストとしてR&DとAIサービスの開発に従事。2018年5月からAI構築プラットフォーム「MatrixFlow」の開発を始め、同年10月にMatrixFlow創業。
会社紹介
プログラミング不要のAI構築プラットフォーム「MatrixFlow」のサービス提供、AI受託開発、AI内製化コンサルティングなどを展開。