「親として背中を見せる番がきた」
父親が若くして急逝。そのとき「人生は思うほど長いものではない」ことを悟った。やがて子どもが生まれ「今度は自分が父親として背中を見せる番がきた」と感じた。それが、起業への動機づけの一つとなった。
2013年に勤めていた双日を退職。Thinkingsの前身となるイグナイトアイを起業した。きっかけとなったのは双日が一部を出資する、さくらインターネットが北海道に巨大なデータセンターを開設したことだ。同社の田中邦裕社長とはほぼ同年代。「若い経営者が日本のインターネット産業で活躍している」ことに大いに刺激を受けた。
「製販一体」を目指して経営統合
交流があった瀧澤暁氏(Thinkings代表取締役会長)が経営するインフォデックスの商材をイグナイトアイが販売するかたちで事業がスタートした。
あれよあれよという間に導入企業が増加。業容拡大に伴う資金調達や体制強化には「製販一体になったほうが効率がよい」と判断し、20年に両社が経営統合してThinkingsが発足した。
採用業務を自動化する「sonar ATS」は、当時の商材が原形になっている。
海外も視野に入れる
sonar ATSの導入企業は今年に入って1000社を突破した。採用業務にかかわるマンパワーを月額2万円から利用できる手頃感が評価された。旺盛な需要をさらに取り込むため、人材獲得に必要な外部サービスをワンストップで購入できる「sonar store」にも力を注ぐ。
国内で拡販を進める一方で、海外も視野に入れる。子どもに見せる親の背中を意識しながら、前だけを見据える。
プロフィール
吉田 崇
1979年、埼玉県生まれ。2002年、早稲田大学政治経済学部卒業。同年、採用コンサルティング会社に入社。05年、双日入社。IT・モバイル関連事業に携わる。13年、イグナイトアイを創業。20年、インフォデックスとの経営統合によりThinkings(シンキングス)を設立。代表取締役社長に就任。
会社紹介
採用管理システムや採用関連サービスのオンラインストアなど企業の人材獲得に必要な商材のプラットフォームとなる「sonar(ソナー)」シリーズの開発、販売を手掛ける。開発元のインフォデックスと、販売を担っていたイグナイトアイが2020年に経営統合して発足した。