これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「cynaps・岩屋雄介・代表取締役」を取材しました。
真の課題を解決したい
世の中には、存在意義が曖昧な製品やサービスがある。技術をアピールすることばかりが先行し、誰にとってニーズがあり、どんな課題の解決に資するのかが不明瞭になる。自社のコア事業であるIoTをはじめ、先進的な分野であればなおさらだ。
「真の課題を解決する」。掲げるミッションには、本当に必要とされるソリューションを届けたいという思いが込められている。「お客様や最終的な利用者に役立つものだけを提供したい。たとえ顧客からの依頼でも、何も役に立たないものであれば、断るぐらいのスタンスでいる」
ビルIoTで戦わずして勝つ
座右の銘は「戦いを略すると書いて戦略」。勝利するために、必ずしも戦う必要はないと考える。競合とぶつかることで、自分たちも大きな傷を負う可能性があるからだ。そのためには、他者が手掛けていない領域でビジネスを展開することが重要となる。「競合が先行するところに入っても、『時すでに遅し』だったり、価格で勝てなかったりと、問題に直面する」。
今、注力するのはIoTによるビルオートメーションだ。ビル内の機器に自社のシステムを組み込むことで、照明や空調などを遠隔管理できる。最新鋭の大規模ビルで導入されているような中央制御を、既存の施設や小規模な建物でも実現する。設備の図面を読んだり、工事の計画を立てたりと手間がかかり「人がやりたがらない、面倒な分野」ではあるが、だからこそ、戦わずして勝てるチャンスがある。
宇宙領域でも通用する会社に
ビジネスの「速さ」にこだわる。「小さい会社が大手の企業に勝るのはスピード。大きな会社が半年や1年をかけて稟議を回している間に、僕たちは10回も20回も実際にトライして、最適解を出せるかもしれない」。
将来的にはIoTプラットフォーム分野でトップに立ち、自動車やロボット、宇宙領域でも通用するビジネスを目指す。「新しい未来をつくれるような会社になりたい」。夢に向かい、全速力で突き進む。
プロフィール
岩屋雄介
1982年生まれ、東京都出身。工学院大学電気電子情報工学科卒。新卒から9年間、建設業界に従事。その後、ベンチャー企業でIoTの新規事業立ち上げを経験するほか、スマートフォン向けアプリ開発会社で大手企業のアプリ開発支援に携わる。2020年3月にcynapsを設立。
会社紹介
「IoT開発支援システム「LIMZERO」の開発・提供などを手掛ける。LIMZEROのショーケースとして投入した、IoT二酸化炭素濃度計「hazaview」やIoT換気システム「BA CLOUD」が好評を得ている。