これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Hubble・早川晋平代表取締役」を取材しました。
現場で受けた衝撃がアイデアに
学生時代から起業したいと考えていた。ただ、起業するためのアイデアや資金がなかったため、中小企業のビジネスに触れながら資金を集めようと、会計事務所をファーストキャリアに選んだ。
そこで目の当たりにしたのは、フロントオフィスの効率化には積極的であるのに対し、バックオフィスのIT化が進んでいない企業の現状だった。非構造的なデータを扱い、属人的な仕事を行ったままでは、会社全体としての効率化は実現されない。
中でも、契約書の管理は付随的な「作業」であるにもかかわらず、日々の業務を圧迫しがちだ。ここを効率化することで本質的な「仕事」を支援したい。その思いが今につながる契機となった。
文化祭のように
仕事に関しては、成果よりも過程を大事にしており「みんなが文化祭の準備をしているときのように、楽しい雰囲気で働いてほしい」と願う。
代表としてワンマンで引っ張っていくのではなく、コミュニケーションを盛んに取りながら、社員と同じ足並みで共に進んでいく。自身のことは「全然天才ではないし、弱みも多い」と分析するが、その弱みを仲間と互いに補いながら、会社を大きくしていきたいという。
社名に込めた二つの意味
社名である「Hubble」には二つの意味が込められている。一つは同社のプロダクトを作る際に利用した、ソースコード開発プラットフォーム「GitHub」から。「誰もが参加できる」という思想に感銘を受けた。日本中の契約業務をクラウドサービス「Hubble」に載せ、煩雑な契約書管理を誰にとっても容易にしたい、という理想がそこにはある。
もう一つは、米国の天文学者で、銀河系の外にも銀河が存在することを発見したエドウィン・ハッブルだ。固定概念にとらわれず、学問を進歩させたハッブルのように、事業やサービスに対しても天井を決めることなく、無数の可能性が広がっていることを忘れずにいたい。そう胸に刻んでいる。
プロフィール
早川晋平
1991年生まれ、兵庫県出身。2014年に関西学院大学理工学部を卒業後、会計事務所に就職。多くの企業に残る非効率な業務オペレーションの現場を目の当たりにし、それらを解決すべく16年に同社を設立。
会社紹介
「契約をデザインし、合理化する」をミッションに、契約業務・契約書管理クラウドサービス「Hubble(ハブル)」、秘密保持契約(NDA)の統一規格化を目指すコンソーシアム型のNDA締結プラットフォーム「OneNDA」、ベンチャー・スタートアップのための法務メディア「Legal Ops Lab」を提供・運営している。