これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「HappyLifeCreators・牧長心CEO」を取材しました。
仕事の楽しみ方を教わる
最初の就職で会社選びに失敗し、やむを得ず転職した先ですばらしい創業社長に出会った。新しいアイデアを社内で発案するたびに、「それいいね。やってみよう」と社長は楽しそうにゴーサインを出してくれる。フラットな組織で、失敗したときは客先に一緒に行って謝ってくれたこともあった。
「いつも前向きな社長のような楽しい人生を手にしたい」との思いで起業を決意。「幸せな人生を創る」との意味を込めて「HappyLifeCreators」と商号を決め、まずは個人事業としてスタート。「会社に黙認してもらいながら副業として3年がんばって脱サラした」と振り返る。
大手ベンダーから問い合わせ
起業直後からコロナ禍に襲われ苦戦するも、独自IT商材の開発を粘り強く続ける。「子どもが保育園のお世話になって、保育業務の大変さを実感したことがきっかけで、保育業務支援システム「HoiCa(ホイカ)」を開発したところ、全国に販売網を持つシステムベンダーから代理販売の問い合わせが来るほどの注目商材になった。
ICカードによる出欠管理や保護者との連絡アプリ、健康記録などを実装した保育業務支援システムで、近年、問題となっている送迎バスの置き去り防止にも応用できる。
ハッピーライフを広げる
今は自分が社長として従業員のモチベーションを引っ張り上げていく立場となる。前職の社長から受け継いだ「楽しく仕事をして、幸せな人生を送る」との考え方を実践すれば、「その背中を見た従業員のモチベーションも高まるはず」と話す。
大手企業のように壮大なキャリアパスはすぐには用意できないかもしれない。でも、「従業員の起業を後押しして、ともにビジネスを大きくするパートナーになる道もあることを自らの行動で示したい」との信念を広げていく考えだ。
プロフィール
牧長 心
1986年、大阪府生まれ。2006年、近畿職業能力開発大学校附属滋賀職業能力開発短期大学校卒業。IT系の会社などを経て、16年に個人事業としてHappyLifeCreatorsを創業。19年に株式会社化。代表取締役CEOに就任。
会社紹介
HappyLifeCreatorsは、保育業務支援の「HoiCa」や、ウェアラブル型作業支援の「TASKel」などのシステムを開発。NTT西日本のオープンイノベーション施設QUINTBRIDGE会員企業。