これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「NEWONE・上林周平代表取締役」を取材しました。
組織と個人の関係性を変える
個人のキャリアは「組織に従属するもの」と捉える向きが伝統的に強い。人材開発に携わっていた前職では、“組織ありき”の手法が高く評価され、ビジネスも順調に伸びていた。あるSIer幹部の育成支援の仕事を手掛けていたとき、客先の幹部候補生の1人が「パン職人として独立したい」と、自身が求める方向性を吐露してくれた。当時は立場上、それを支持することができず、「自分のなかで矛盾を抱えることになった」と振り返る。
会社組織を強くするに当たっては、「組織のなかのリーダーシップ」を重視するか、「組織と個人の関係性を変える」かの考え方がある。過去の経験から「後者のほうが今後は重要性になる」との思いを抱きながら、NEWONEを起業した。
キャリアを自分事として捉える
ソフトウェアの世界では1人の優れた才能が何百、何千人分に相当することもある。「デジタルがさまざまな業種に浸透する今、個人の能力がエンハンスされ、何十人分もの価値を生み出す場面が増える」とみる。キャリアは自分事として捉えることが大切で、会社から「やれ」と言われたから行動する状況下では、「望ましいキャリアをもつ人材を育てるのは難しい」。
挑戦し、自分らしく生きる
近年は、NECや富士通といった国内大手が外部から専門スキルを有した幹部を登用する動きが加速した。以前には見られなかった動きで、「幹部層ではすでにキャリア本位の人事に変わりつつある。いずれ部課長職にも波及する」と予測する。
NEWONEの社名に込めた思いは、自分のキャリアのために何か新しいことに挑戦し、自分らしく生きること。パン職人の希望者はその後、ベーカリーを開業し、ビジネスも軌道に乗せている。
自分のキャリアを生かし、価値を最大化できる会社組織との関係が「新しい時代の強い会社組織づくりにつながる」と強く確信している。
プロフィール
上林周平
1978年、奈良県生まれ。2000年、大阪大学人間科学部卒業。同年、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。02年、シェイク入社。15年、代表取締役副社長。17年、NEWONEを起業。
会社紹介
会社組織のエンゲージメントを高めるコンサルティングサービスや、組織開発のための「Cocolabo(ココラボ)」「キャリアクラフト診断」などのITツールを開発。従業員数は約50人。