これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「ヤモリ・藤澤正太郎共同創業者代表取締役」を取材しました。
IT活用でもっと面白くなる
前職ではインフラ分野に関わる事業に携わっており、「生活に直結することで社会にいいインパクトを与えたい」と考えていた。注目したのが中古不動産だ。全国には数えきれないほどの物件が存在しており、市場の規模は大きい。しかし、なかなかデジタル化が進んでいない領域だった。だからこそ、ITやデータを活用することで「もっと面白いことができる」
目指すのは「不動産の民主化」。より多くの人が不動産で資産形成できるような世界だ。現状では、不動産への投資はハードルが高いとの意識は根強い。不動産を持ちやすくするための「初めの一歩を踏み出す支援をしている」
ユーザーは「チームメンバー」
自社を取り巻くコミュニティーが極めて活発だ。これまで物件オーナーなどのユーザーに直接会って、事業の意義を訴え続けてきた。今ではユーザー同士が横でつながり、自主的に助け合ったり支え合ったりしている。「起業する前はわからなかったが、コミュニティーの力はすさまじいものだと実感している」
ユーザー側から物件情報が得られるなど「いい意味で裏切られた」こともあった。ユーザーたちは「チームメンバー」と呼ばれ、会社と同じ方向を向いて進む大切な仲間として活動している。
自分が亡くなった後も残る仕組み
事業を大きくすること自体は本質的な目的ではない。「自分が亡くなった後も残る仕組みをつくりたい」。不動産を買える人をつくり、不動産のデータを集め、不動産を買うための融資を受けやすくする。中古不動産を取り巻く「ヒト・モノ・カネ」の仕組みをつくることに社会的な価値を感じている。
今はまだ不動産の民主化を目指す道中にいる。当然やるべきことも多く存在する。しかしその分、「無限の発展性がある」と展望する。
プロフィール
藤澤正太郎
1987年、東京都生まれ。2011年に三菱商事に入社し、インフラ事業の海外案件とアセットマネジメントに従事。チリに4年間駐在。その後、米ニューヨークに本社を構える不動産ユニコーン企業Knotel(ノーテル) のJapan General Managerを務める。19年11月にヤモリを共同創業。
会社紹介
「不動産の民主化」をミッションに、不動産をクラウドで一元管理する不動産収支管理ソフト「大家のヤモリ」や、毎月の入出金管理・月次送金明細の作成など、賃貸管理の事務作業を自動化する「管理会社のヤモリ」を提供。そのほか、単身高齢入居者の異変を通知する見守りIoTサービス「みまもりヤモリ」などを展開している。