これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「SecureNavi・井崎友博代表取締役CEO」を取材しました。
SaaSの利点を実感
新卒で入社したセキュリティーコンサルティング企業で、200社超の企業の支援に携わった。セキュリティーの社内規定や、情報セキュリティー事故が起きた際の対応フローを作成する中で感じたのは、コンサルが伴走している間は適切に運用できても、コンサル期間が終わると、企業内での運用が形骸化してしまうという課題だった。
転職したスタートアップでSaaSの開発を経験し、月額課金でずっとサポートが続くSaaSの利点を実感。通常だと一回数百万円かかるセキュリティーコンサルを、SaaSで安価に継続的に提供することを目指して起業した。
需要高まる認証の取得を支援
セキュリティー認証取得の自動化SaaS「SecureNavi」は、通常数十種類の規定や台帳が必要な申請手続きを、画面上で必要事項を記入していくだけで完了できる利便性が特徴だ。セキュリティー認証は、取引先から取得状況を確認されることが多く、中堅・中小企業を中心に新規取得の需要が高まっている。
セキュリティー対策というと、ランサムウェアなど外部からの攻撃への対処を思い浮かべることが多いが、多くの事故はメールの誤送信やPCの置き忘れなど、人的ミスに起因している。「適切な社内規定をつくり、働く人の意識を高めていくことは、文系のセキュリティー」と定義し、高度なセキュリティーツールを入れるのと同程度に重視すべきポイントだと認識する。
社員を第一に成長を
今年、セキュリティー製品を多く取り扱うディストリビューターと代理店契約を締結した。SecureNaviで社内のセキュリティー課題を明らかにし、それに対応できるセキュリティー製品を顧客に提案することでシナジーが出せると期待する。製品に自信はある。多くの企業とすべての働く人にセキュリティーリテラシーを高めてもらうべく、「パートナーの力を借りて製品を広めていきたい」と意気込む。
事業成長の上で最も大切にするのが、自社社員の働きがいだ。「社員が第一、顧客が第二、株主が第三」と明言。会社の利益と社員の進みたい方向や働き方を両立させることでより成長できると信じ、前に進む。
プロフィール
井崎友博
1993年、兵庫県出身。神戸大学発達科学部卒業。セキュリティーコンサルティング企業に就職し、大手から中小企業まで、数多くの情報セキュリティー体制構築プロジェクトを手掛ける。テック系スタートアップ企業に転職し、Webエンジニアとしてプロダクト開発、新規事業開発など幅広い業務を経験。2020年、SecureNaviを創業。
会社紹介
情報セキュリティーマネジメントシステム(ISMS)認証、プライバシーマーク(Pマーク)の取得・運用を効率化するSaaS「SecureNavi」を提供。最小で月額数万円から認証取得に必要な監査体制を構築可能。自社に最適で形骸化しない情報セキュリティー体制の構築を支援する。