これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「アンチパターン・小笹佑京代表取締役」を取材しました。
顧客の価値につながる開発へ
会社の理念は「日本のソフトウェアエンジニアを憧れの職業へ」。エンジニア職が好きで仕事を始め、実力ある人材が活躍する社会を思い描く。例えば、プロのスポーツ選手や歌手の多くは、報酬を得たいから働いているわけではなく、競技や歌が好きだからこそ、その仕事を選び活躍する。
自社が提供するSaaS開発のためのSaaSによって、エンジニアは顧客の価値につながるコアの部分の開発により注力できる。顧客と向き合える時間が増えれば、エンジニアのやりがいはさらに大きくなり、ひいては好きで仕事に取り組めるようにもなるはずだ。
人が人らしく働ける会社
「人が人らしく働けるように」との意識を持って会社を経営している。人がいなければソフトウェアは開発できず、人がいなければ組織は成り立たないからだ。その人らしい個性を発揮できるチームの形成を目指している。
具体的には、業務命令で指示を出さないよう心がけている。ただし、会社としてやらなければならない部分はどうしても存在する。個人の意思を尊重しながら、会社として進むべき方向を説明し、一人一人の理解を得るようにしている。
足跡残す博物館をつくる
ソフトウェアはハードウェアと違って、物としてかたちがない。その上、ソフトウェアには更新があり「かつてエンジニアが死力を尽くしてつくったソフトウェアを、新たな世代が死力を尽くして壊す」構造だ。仕組みとして残らないソフトウェアそのものを保存し、ソフトウェアをつくってきた人たちの足跡を後世に伝える。それは文化人類学的に重要なのではないかと強く考えている。
将来の夢は「ソフトウェア博物館」をつくること。権利関係やソフトウェアの選定方法など、クリアしなければならない課題は数多くあるが、実現に向けて構想を練る日々だ。
プロフィール
小笹佑京
1991年、東京都出身。2014年に新卒でイノベーションに入社。その後、社内で立ち上がったソフトウェア開発の内製化プロジェクトを推進。17年にマネージャー職、18年に開発本部長を歴任。19年にアンチパターンを創業。
会社紹介
SaaSの開発、運用、販売を支援するためのSaaS「SaaSus Platform」の提供のほか、ソフトウェア開発支援事業や大学生向けプログラミング学習コミュニティーの運営などを展開している。