これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Conoris Technologies・井上幸代表取締役」を取材しました。
誰かのハッピーにつながる
事業開発に携わる機会が多かったが、会社のしがらみなどが影響し、自身の理想との間には大きなギャップが生まれていた。「経営者を務めることに興味はなかったが、自分が一番楽しく、幸せに事業開発するには起業しかなかった。向いていないと思っていたが、やってみたら自分に合っていた」と話す。
自身が担当し苦労した経験から、クラウドサービスのセキュリティーをチェックするサービスなどを展開。導入企業が増え、顧客からは「業務が楽になった」という声が寄せられるようになった。また、社内では「会社が好きだ」と言ってくれる社員が多い。「誰かのハッピーにつながることができた時に、会社をつくって良かったと思える」
チャレンジできる環境をつくる
日本の生産性の低さは長年の課題だ。その原因を「手続きに無駄な時間を割き過ぎている。加えて現在は、安全性や安心を担保するためにやらなければいけないことも増えている」と分析。自社のプロダクトを通じて、容易に安心・安全を担保できるようにすることで、AIの活用など新しいことにチャレンジできる環境をつくり、日本の生産性の向上を目指す。
グローバルでは、製品や委託先などサプライチェーン上のさまざまな場面でセキュリティーが重視されるようになっており、ビジネスの成長にセキュリティーは欠かせない要素だ。しかし国内を見ると、セキュリティーへの取り組みが遅れている企業が多い。「安心して発注できる会社やプロダクトを増やし、日本のセキュリティーレベルを上げていくことにも寄与したい」
個々の能力を発揮できる組織
現在のプロダクトについては「ゼロイチのフェーズは終わった感がある。そこから成長させていくのは得意な人に任せたい。私は新規事業が好きだし、そこが自分の強みを一番生かせる」とし、個々の能力が発揮できる組織を重視する。
「クラウド・AI時代のITサービスマネジメントプロバイダー」を目標に掲げ、新たな領域への参入など新規事業の創出に取り組んでいる。「さまざまなサービスを提供し続けて、会社を大きくしたい」と前を向く。
プロフィール
井上 幸
大阪府出身。同志社大学卒業後、2010年にワークスアプリケーションズに入社。その後、リクルートキャリア(現リクルート)に転職、法人営業、コンサルタントを経て新規事業開発部門へ異動し、採用系SaaSの企画・営業を担当。19年よりパーソルグループのコーポレートベンチャーキャピタルで投資担当者として従事。20年6月ミツカル(現Conoris Technologies)を創業。
会社紹介
企業に存在する業務の非効率を解消することを目的に、クラウドサービスのセキュリティーチェック支援サービス「Conoris」、委託先調査に特化した支援サービス「Conoris BP」、クラウドサービス事業者向けにセキュリティーチェックシートへの記入をサポートする「Conoris Answer」を提供する。