これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「テイラー・柴田 陽代表取締役/CEO」を取材しました。
“強くてニューゲーム”をやめる
これまで何度か起業や売却を行ってきたが、「テイラーにオールインする」ことに決めた。事業を売却して起業し直すことは、経験が蓄積され、人や資金集めの面でも有利になり、ネットスラングで言うところの“強くてニューゲーム”の状態だと考える。しかし、「これ以上強くてニューゲームしてもしょうがない」。今後、今よりいい手札がそろうことはないと感じるほど、いいメンバーが集まり、タイミングもよく、拡大させていく価値のある事業に取り組んでいると自負する。
より多くの人がつくり手に
非エンジニアでありながら、これまでITサービスで起業してきたが、アイデアをかたちにしようとすると多くのエンジニアが必要となることに不満を覚えていた。自身は運良くいいエンジニアと出会うことができたが、「世の中には、自分でソフトウェアが書けないがために、かたちになっていないアイデアがたくさんあるだろう」
「こんなサービスがあったらいいのに」と感じたとき、「自分ではつくれない」と思うことがなくなれば、世の中はどんどん良くなっていく。だからこそ、開発基盤の提供を通じて「ソフトウェアづくりをより簡単に、開かれたものに」し、より多くの人がプロダクトのつくり手になれる世界を目指している。
グローバルの潮流をつかむ
普段はシリコンバレーに身を置いて仕事をしており、グローバルの潮流を把握するよう努めている。「会社や製品が流れと逆行していないか」「適切な速度で新しいイノベーションを取り込むことができているか」など、経営手法や使っている技術が世界のスタンダードから見て乖離していないかどうかを見極めるのは重要だ。
目標は「日米共に、コンポーザブルERPのナンバーワンプレイヤーになる」こと。そのためには、「グローバルの水準で見ても通用する経営者」であることも求められるだろう。目標に至るまでの道のりは長く、到達度はまだ1合目と分析するが、まだ見ぬ景色に向かって歩み続ける。
プロフィール
柴田 陽
1984年、山形県生まれ。2007年、東京大学経済学部を卒業し、新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。これまで、店舗集客サービス「スマポ」やタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車」などを手掛けてきた。三つの会社の創業・売却の経験を持つ起業家。21年にテイラーを設立。
会社紹介
業務システムの開発基盤「Tailor Platform(テイラープラットフォーム)」を開発・提供している。米国のアクセラレータープログラム「Y Combinator」に採択された。