これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「テックピット・山田晃平代表取締役CEO」を取材しました。
エンジニアをエリート職に
大学では観光学部を選んだほどの旅行好きだ。学生時代にエンジニアとしてインドに渡った際、衝撃を受けた。エンジニアが医師や政治家と並ぶエリート職業と認識され、「エンジニアになって人生や社会を変える」と希望を語る若者に何人も出会った。 技術の学習環境にも恵まれていた。「日本も同じように、エンジニアをさらに価値ある職業にしたい」。心の底から熱意が湧き上がってきた。
新卒で入社した会社では、研修の際にある質問を受けた。
「誰のために生きているか」
答えは「自分のためより、社会のために生きたい」。常にこの思いが根底にある。
IT業界のスキル標準をつくる
起業後、プログラミング学習コンテンツを提供していると、企業が「何を学んでもらうべきか分からない」「個人の育成まで手が回らない」という悩みに直面していることを実感した。
そこで「スキルの可視化」を一つのニーズと捉え、エンジニアの技術の習熟度が分かるスキルマネジメントSaaSを開発した。技術職を抱えるSIerなどの企業にアプローチし、「業界のスキル標準」づくりへとシフトした。
提供するプロダクトの枠組みは同じでも、使う人によって課題は異なる。何よりも「顧客自身も本当の課題は分からない」。悩みや問題を聞き取り、それが発生しているプロセスを見極める。こうして出てきた本質的な課題を解決するため、ユーザーと向き合っている。
いち早く失敗を
従業員には「いち早く検証して、いち早く失敗しよう」と伝えている。変化が激しいIT業界ではスピードが命。早期に新機能の有用性を見極めることでユーザーのメリットになると考え、トライ&エラーを促す。
会社にはテクノロジー好きが集まる。メンバーの力を信じ、経営者としてはビジョンを掲げて「業界をどうしたらよくできるか」を思案し続けている。社会人になってからはトライアスロンが趣味になった。プライベートも仕事も、好奇心が行動の源泉になっている。
プロフィール
山田晃平
1994年生まれ、千葉県出身。立教大学観光学部在学中にインドのA/Bテストツールの会社にインターン。卒業後、2018年にテックピットを設立。
会社紹介
エンジニアのスキルマネジメントSaaS「SkillDB」を提供する。詳細に能力基準を設定したスキルデータベースをもとに、従業員のスキルセットを可視化し、人材育成をサポートする。