これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「BackofficeForce・筧 智家至代表取締役」を取材しました。
あきらめず一緒に走る
公認会計士の道に進んだのは、社会の役に立つためだ。企業にとって「お金」は欠かすことのできない重要なテーマ。経営者や管理者のサポートを通じて業績を向上させることができれば、従業員にも大きな波及効果をもたらす。より多くの人のためになれると、仕事に取り組んできた。
新卒でトーマツに入ってから、倒産寸前に追い込まれた父の会社を根気強く支え、立て直したことがある。この経験が、顧客と粘り強く伴走するスタイルにつながった。ところが、会社では一定のポジションに就くと、顧客と向き合う時間は制限されてしまう。「もっと社会への貢献を」との思いから、起業を決めた。
環境構築で属人化を防ぐ
「1人では100社くらいが限界。もっと多くの企業の役に立つために、伴走できる人材を増やしたい」と考えた。しかし、自分が長年かけて培ったノウハウは、簡単に習得できるものではない。そこで、誰もが同じ成果を上げられる仕組みをつくるため、独自のトータル支援サービスを立ち上げることにした。20年にわたり、さまざまな企業を支え続けた経験に基づくノウハウやアイデアを詰め込んだ。
多くの企業の業務フローを見て、「大まかなフレームワークは同じ」であることに気が付いた。業務の流れや進捗を管理するダッシュボード機能には、この気付きを反映。業務ごとのマニュアルには、業務説明の録画やスクリーンショットを添付。誰が担当しても完遂できる環境を構築し、属人化を防ぐことにした。
仕事全体の1割しかないイレギュラーに「一番多くの時間を取られる」ことを課題に挙げる。解決策として、経営支援を通じて蓄積した事例をデータソースとするAIの活用を模索する。
利他の心と思いやりある会社へ
経営者としては、利他の心と思いやりのある会社として成長するため、自分ができないことを自覚して、改善し続けることを心掛ける。なりたい自分に近づくために、一歩一歩階段をあがる際の辛さは9割を占める。だが、やり遂げたときの達成感は格別だ。9割の苦しみは、この1割を味わうためのスパイスになっている。
プロフィール
筧 智家至
1980年生まれ、愛知県出身。慶應義塾大学商学部卒業。2004年にトーマツへ入社し、株式上場や経営改善支援に従事。12年に筧会計事務所を設立。13年にグランサーズを立ち上げ、25年にBackofficeForceへ社名を変更した。
会社紹介
クラウド型のバックオフィストータル支援サービス「BackofficeForce」を提供。専門家が伴走しながら、業務を一元管理できるダッシュボードや、記憶に頼らないマニュアルを作成する。汎用的なフレームワークを構築したことで、あらゆる会計システムに対応する。