その他
QR-XMLの実用化へ アパレル業界とIT
2002/02/18 15:00
繊維・アパレル業界では、EC(電子商取引)を活用したQR(クイックレスポンス)の推進が業界全体の活性化を促す重要なカギとなっており、業界標準「QR-XML」の実用化が本格的に始まりつつある。
これには、1994年に業界の取引近代化と情報化推進を目的とした「QR推進協議会(繊維産業流通構造改革推進協議会)」が設立されたことや、95年から経済産業省(旧通商産業省)がTIIP(繊維産業革新基盤整備)事業を推進していることが背景にある。
同業界における標準化推進の動きは、00年に入ってから急速に活発化してきた。
00年7月には、繊維・アパレル業界の変革と活性化を加速するために、XML標準化の検討とインターネットを活用した共通ネットワークシステムの普及を図る目的で、「Apparel
Arc-XML(アパレルアークXML)普及協議会」が発足。同協議会では、TIIPネットの発展的活用を図るため、繊維・アパレル業界に適合する共通ネットワークシステム「アパレルアーク」の構築支援と普及、および中核技術であるXMLの業務プロセスやタグの標準化を目指している。
同年10月には、情報化投資効率を高めるための期間限定プロジェクト「STEPSプロジェクト」が開始。最終答申は01年5月に取りまとめられ、継承母体として「QR-XML標準統合研究会」が設立。これを受けて、「アパレルアークXML普及協議会」は、「QR-XML普及協議会」に改称された。
これに歩調を合わせるように、QR-XMLの推進を促す企業も登場してきた。
昨年3月には、オンワード樫山や三陽商会をはじめとするファッション関連企業など12社が、ITにより繊維・アパレル業界の構造改革を推進する企業「コロモ・ドット・コム」を設立した。中核事業として、繊維・アパレル業界全般の総合情報ポータルサイトの運営、上流(メーカー)から下流(小売り)をつなぐ共同SCMの導入支援、アウトソーシングなどのビジネスを展開している。同社のほかにも、ATネットやエイトピアなどもサービスを提供中だ。
アパレル、テキスタイル、商社、システム関連企業など32社の共同出資により昨年8月に設立された「イー・シャトル」では、「アパレルアーク」を軸にした「XML-EDIサービス」や「SCM基盤サービス」などの提供に力を入れている。
現状について、コロモ・ドット・コムの斉藤恒夫社長は、「本格的に事業を開始したのが昨年10月。昨年はメーカーや小売店に認知させるための種まきの時期だった。今年から、本格的に実用段階に入るのではないか」と分析する。
イー・シャトルの柳澤道生・取締役執行役員は、「アパレルアークの導入ユーザー数は、IDベースで1000-1500ユーザー。03年度には約1万ユーザーを目指す」と自信をみせる。
同業界では、標準化を策定する取り組みにより、基盤サービスをイー・シャトルが、基盤サービスに基づく分野・業務別サービスをコロモ・ドット・コムなどが提供することで、「QR-XML共通基盤プラットフォーム」を確立させる準備が整った段階にある。
だが、実際にQR-XMLが業界標準として隅々にまで普及し始めているかというと、「中小企業にシステムを提供するには時間がかかる」と、コロモ・ドット・コムの斉藤社長は、顔を曇らせる。同社のシステムを導入した初期ユーザーは大手企業が中心で、「中小企業はIT化を検討している段階だ」という。
イー・シャトルでも、「アパレルアークの顧客企業数は、約40社で大手企業が大半」(柳澤取締役)としており、中小企業への普及率はまだ低い。
また両社とも、「販売を拡大させるためにパートナー企業の開拓を図っている」(イー・シャトル柳澤取締役)、「全国に拠点をもつパートナー企業を増やしていきたい」(コロモ・ドット・コム斉藤社長)と、パートナー戦略の推進が当面の課題だ。
繊維・アパレル業界は、関連企業を含め約50万社といわれており、大半が中小企業である。大手企業から始まったQR-XML普及の動きが、業界の裾野まで広がっていくのか。すでに普及に向けた準備体制は整っているだけに、あとは強力なパートナー次第かもしれない。(佐相彰彦●取材・文)
繊維・アパレル業界では、EC(電子商取引)を活用したQR(クイックレスポンス)の推進が業界全体の活性化を促す重要なカギとなっており、業界標準「QR-XML」の実用化が本格的に始まりつつある。
これには、1994年に業界の取引近代化と情報化推進を目的とした「QR推進協議会(繊維産業流通構造改革推進協議会)」が設立されたことや、95年から経済産業省(旧通商産業省)がTIIP(繊維産業革新基盤整備)事業を推進していることが背景にある。
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