経済産業省など「平成13年度電子商取引に関する市場規模・実態調査」
2006年には、BtoC電子商取引の市場規模は16兆2970億円、電子商取引化率は5.8%というのがこの報告書の見通しだ。パソコンおよび関連製品は、EC化率は34%と最も高いにもかかわらず、市場規模は5670億円といささか低すぎるのではないかと思える額を出しているのが腑に落ちない。ともあれこの予測の最終回である。
2. 2001年の主なBtoC動向 2001年の動向としては、どの分野においても大手の取り組みが本格化し、有望な販売チャネルの一つとしてECが完全に定着したことが挙げられる。
画期的なビジネスモデルの出現はなかったが、そのなかでも大手カタログ通販事業者が既存のカタログ(雑誌等)と連携する事(クリック・アンド・カタログ)で大幅に売り上げを伸ばしたことや、着信メロディ事業者のウェブサイトとCD通販ウェブサイトの連動のような、異業種間コラボレート、クリック・アンド・モルタルの更なる徹底等リアル店舗/メディアとの連携の強化が顕著な動きとして目立った。
注目分野は、伸びの著しい旅行、エンタテインメント、サービスといった、非物販系品目である。また、物販分野においては衣料・アクセサリ、趣味・雑貨の分野における伸びが目立っている。
旅行では、現地清算方式を採用する宿泊予約専業サイトの登場以来、物流、決算もともなわない手軽さが消費者に支持され着実に売り上げを伸ばしている。また、航空各社、JR、大手ホテルチェーンを中心に、直売サイトが本格化し、2001年は、消費者にも完全サービスが認知・定着した感がある。こうした各社の積極的取り組み状況に危機感を募らせた旅行代理店も各社パッケージツアーのみならず、従来からの宿泊施設との関係を有効に活用した宿泊予約サービスを本格的に展開を始め、市場全体が活況を呈しているのが現状である。
エンタテインメントでは、ブラウザ対応携帯電話向け着信メロディ、待受け画面等娯楽系コンテンツが2000年に引き続き好調であり、倍近い伸びを見せている。また、イベントチケットの予約・販売も旅行のチケットと同様に、消費者の高い支持を得ており、順調に倍増している。
各種サービスにおいては、ブラウザ対応携帯電話によるレストラン予約等が2000年には補足されたが、2001年ではそれに加え、ゴルフ場の予約、ワールドカップのチケット予約、一部で試行的に取り組まれた大学入試願書の受付等の生活関連サービスにおいて、新たなサービスの登場が見られた。また、xDSLの低価格化にともない、付加価値通信サービスのオンラインサインアップも2000年の3倍近くの伸びを見せている。
一方、物販系で伸びの著しい衣料、趣味・雑貨・家具の品目に関しては、女性のインターネット利用者の増加による売上拡大のみならず、大手カタログ通販各社のネット販売が本格化したことによる、市場の底上げがなされた事の影響が大きい。
3. BtoC市場の将来展望 BtoC市場は旅行、サービス等の品目が市場をけん引することで、今後5年間で16兆2970億円にまで増加すると見込む。また、電子商取引化率も2006年には5%を突破する見通しである。
なお、セグメント別に見ると、2006年には、サービス、旅行の割合が高くなるが、他のセグメント間の偏りは現状に比べ縮小していくと推定される。
一方、BtoCモバイル市場は今後5年間で約3兆2390億にまで増加すると見込む。また、全BtoC EC市場規模におけるモバイルの割合も2006年には平均約19.9%に達する見通しである。
なお、セグメント別に見ると、2001年では、着信メロディを中心とするエンタテインメントがモバイルコマース市場全体の70%を占めているが、2006年には旅行やサービスにおけるモバイルコマースが進展し、セグメント間の格差は縮小すると思われる。