その他
「日本の最先端IT拠点に」 秋葉原駅前の再開発事業
2002/04/15 21:12
週刊BCN 2002年04月15日vol.937掲載
東京都から示された12の機能・設備のうち、「産学連携機能」の5つと、「情報ネットワーク機能」の3つは、基本的に1街区のタワー型ビルに設置する。一方の「集客機能」の方は、大部分を3街区の大型複合ビルに配置するというプランだ。
イベントホールやショールームといった集客施設のほとんどは、それぞれのビルの2階を中心に配置されており、2棟のビルは2階部分のデッキで結ばれる。ちょうどヤマギワ東京本店ビルや日本通運本社ビルが面した神田明神通りに、大きな人の流れができる可能性が高い。
さらに3街区ビルの平面図を見ると、2階部分に配置される「イベントデッキ」から1階部分へとスロープが下っていく通路が設けられている。
3街区ビルの北側に、鹿島が独自に超高層集合住宅を開発する計画だが、そちらの方向へと人の新しい流れを導くような計画案である。
「3街区のビルに配置されるITベンダーなどのショールームやイベントなどを見て、秋葉原の電気街へと買い物客がスムーズに流れていくという動線をつくり、秋葉原的な賑わいを演出したい」(大堂氏)。
これまで秋葉原の電気街への人の流れは、JR秋葉原駅の電気街口やアキハバラデパートからの流れが中心だった。再開発が完了すれば、人の流れも一気に多様化するのは間違いない。
「とにかく秋葉原の街の集客力が増すことを期待している」(東京都産業政策部)。
東京都にとって秋葉原地区再開発の最大の狙いは、人や企業が集まり、産業やビジネスが大いに活性化することである。
交通インフラは、「つくばエクスプレス」の建設が05年度開業をめざして急ピッチで進められており、秋葉原再開発地区とはJR山手線をはさんで昭和通り側の街区に新駅が誕生する計画だ。
さらに、その駅の上には大型家電量販店のヨドバシカメラが大規模店舗を出店する計画が浮上している。
注目したいのは、秋葉原ITセンターとつくばエクスプレスの秋葉原新駅との動線が、どう確保されるか、だ。
それによって、秋葉原ITセンターに集まった人たちが、電気街の中心である中央通り側に流れるか、ヨドバシカメラのある昭和通り側に流れるかに大きく影響すると考えられるからだ。
「確かにJR山手線をはさんでスムーズに行き来できる自由通路みたいなものがあれば便利だろう。しかし現時点でJRから具体的な計画は聞いていない」(東京都産業政策部)。
JR東日本では、秋葉原地区再開発の事業コンペ当選が発表になった約2週間後、秋葉原駅に隣接するアキハバラデパートを運営する「株式会社秋葉原」の経営権を取得したと発表したばかり。つくばエクスプレス乗り入れを含めて、秋葉原駅の再開発に今後本格的に着手することになると見られる。
さらに今月5日には、JR東日本と鹿島が、JR系ゼネコンの鉄建建設を含めて業務提携を発表した。
今後、具体的な協力案件として秋葉原地区再開発事業が浮上する可能性が出てきそうだ。
秋葉原ITセンターを中心とした東京・秋葉原駅前の再開発事業が、いよいよ本格的に動き出した。今年2月、東京都の保有地を対象に、秋葉原の再開発事業コンペ(公募)が実施され、NTT都市開発・ダイビル・鹿島の3社グループが当選した。東京都議会の承認を経て、東京都は同グループと先月末に土地売買契約を正式に締結。3社グループは来年5月の着工をめざして実施設計作業に入った。全面オープンは2006年2月を予定。05年度には常磐新線「つくばエクスプレス」も開業する。秋葉原の街が、今後どのように変貌していくのか。目が離せなくなってきた。(千葉利宏●取材/文)
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