その他
これからのセキュリティ対策 腰据えて取り組む時期に
2002/06/24 15:00
週刊BCN 2002年06月24日vol.946掲載
コンピュータセキュリティに対し、ITベンダーが小手先のセキュリティホールの修正というレベルではなく、長期的に対処する姿勢を見せ始めた。米マイクロソフト本社の最高セキュリティ責任者に就任したスコット・チャーニー氏は、「マイクロソフトの最優先課題であり、価値観の変革に向けた全社的な取り組みでもある。10年以上もかかる課題として、長期的に取り組んでいく。(三浦優子●取材・文)
コンピュータシステムは、電話、水道といった社会インフラに比べ信頼性が高くないのが現状だが、これを同等レベルにまで高めていく」と明言する。ご存じのようにIT業界の進化は日進月歩だ。10年先どころか、5年先、3年先、いや1年先のことを考えていても、その通りに物事が進んでいくとは限らない。とくにマイクロソフトの技術進展の早さが業界をリードしてきた点を考えると、10年にわたる取り組みを表明したことは、同社の大きな変化を如実に示している。どうやらセキュリティに対する取り組みは、これまでのITの進化とは違う視点で捉える必要がありそうだ。
米エクソダス・ケーブル&ワイヤレスサービスのセキュリティ担当副社長兼チーフセキュリティオフィサーであるビル・ハンコック氏も、日本で行われたセミナーのなかで、「高いセキュリティを実現するためには、導入したものを常に見直していく必要がある」と指摘した。同氏は将来のセキュリティについて、「この10年間でネットワークの設定がどれだけに簡単に、短時間でできるようになったかを考えると、セキュリティ対策も10年後には劇的に簡便になっているだろう」と予言する。ただ、いくら対策が簡便になったとしても、「導入したものを見直していくことは必要」という。技術進化だけを考えれば、「これだけ進化したのだから、もう十分」となるポイントが存在するわけだが、セキュリティ対策には終わりがないということらしい。確かにセキュリティの場合、その製品が出た時点では問題がなかったとしても、時間の経過で別の技術が出て来ることで、セキュリティ的な問題が生じるケースは珍しくない。
その時点で問題がないから、未来永劫、セキュリティ面に問題なしと考えるのは危険だといえるだろう。だが、このセキュリティには終わりがないことを、ユーザーに納得してもらうのは大変難しい。ユーザーの中には、コンピュータを巡るセキュリティトラブルは、業界が売り上げを伸ばすために自ら起こしているのでは、という見方が依然としてある。これだけ頻繁に悪質なウイルスが出回り、トラブルが頻繁にあると、一部企業がワナを仕掛けたトラブルというには、レベルはすでに範囲を超えているのだが、ユーザーにはそこのところは納得しにくいだろう。例えば、米マイクロソフトのチャーニー最高セキュリティ責任者は、「古いコンピュータがネットワークにつながっている場合、それがネットワークシステムの脆弱性となって、トラブルとなることは十分起こり得る。高いセキュリティを望むのであれば、最新のコンピュータに入れ替えることが望ましい」と話していた。だが同時に、現在1億台存在するというウィンドウズ95マシンをすべて入れ替えることの難しさも認める。
対策として、ユーザーに対する教育などを行っていくとしながらも、「多様なユーザーベースのなかで、認知を徹底するには時間がかかる」とした。こうした状況を考えると、コンピュータシステム全体のセキュリティを高めていくためには、ユーザーに対面する販売店、システムインテグレータの果たす役割が大きい。ベンダーのメッセージをユーザーが納得するように伝えていく仕事は、やはりユーザーに対面する販売店、システムインテグレータだからこそできることではないだろうか。もちろん、ビジネスとして考えてもセキュリティシステム販売は売り上げに大きく寄与することにもつながる。長期的な視野でセキュリティビジネスに取り組むべきである。
コンピュータセキュリティに対し、ITベンダーが小手先のセキュリティホールの修正というレベルではなく、長期的に対処する姿勢を見せ始めた。米マイクロソフト本社の最高セキュリティ責任者に就任したスコット・チャーニー氏は、「マイクロソフトの最優先課題であり、価値観の変革に向けた全社的な取り組みでもある。10年以上もかかる課題として、長期的に取り組んでいく。(三浦優子●取材・文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…