その他
PC夏商戦、ヤマ場に突入 価格で各社ギリギリの判断
2002/07/08 15:00
週刊BCN 2002年07月08日vol.948掲載
サッカーのワールドカップの影響で客足が鈍り、“一時休戦”状態にあったパソコン販売が、7月の訪れとともに夏商戦ヤマ場に突入した。今夏の焦点は1つ。部材価格の高騰にともない、5月下旬に上昇したパソコン本体の価格がこのまま現在の水準を維持できるかどうか。7月の市場は需要が限定されるとの見方もあり、メーカーの過剰出荷による在庫拡大の懸念も払拭しきれない。最近の部材価格の下落で、ビジネス系のデルコンピュータや日本IBMがいち早く価格を下げるなどの動きも出ている。数々の不安材料を抱えながらも、ショップ各社は「少なくとも7月末まではこのままの価格でいくのではないか」と、客足の戻りに期待をつないでいる。
BCNランキングによると、5月13-19日の週までは、パソコン本体の平均実売価格はデスクトップで18万円台、ノートで19万円台だった。これが5月20-26日の週には、デスクトップが約1万7000円増の19万8000円、ノートで約9300円増の20万1000円に上昇。以来、価格はその水準で推移している。春先の部材価格高騰にともない、メーカー各社がパソコン価格を一斉に値上げしたことが最大の要因だ。
今年5月はデスクトップが台数ベースで前年同月比33%減、金額ベースで同25%減。ノートが台数で同18%減、金額で同20%減。6月はデスクトップで台数同40%減、金額同32%減、ノートで台数同35%減、金額同33%減と5月に引き続き低迷している。
ショップでは、「6月はワールドカップの影響で店舗を訪れる消費者が少なかった」、「大型液晶テレビなど、高額なテレビを購入する消費者が増えたため」といった声が挙がっている。
部材価格の下落やパソコン市場の低迷から、いち早くパソコン価格を引き下げたデルコンピュータでは、3-4日分の部品在庫のみをもち、市場でのコンポーネント価格が下がれば、すばやく製品価格を下げる仕組みを徹底している。
日本IBMもデスクトップ型の「ネットビスタ」シリーズを値下げ。市場の動きをみてノート型の「シンクパッド」シリーズの値下げも検討する。両社の取り組みは、法人向けを中心とした需要喚起を狙ったものといえる。
コンシューマ向け市場では、「7月はワールドカップが終わり、店舗に訪れる消費者が確実に増える。そのため、価格を下げないほうが無難。値下げが必ずしも販売増加につながるとは限らない」(ショップ関係者)と見ており、「少なくとも7月末まではこのままの価格でいくのではないか」と分析する。
メーカー関係者の大半も、「7月末まではパソコン価格が下がることはない」と強気の姿勢を崩さない。 7月の購入者層については、「パソコンの所有サイクルを考えれば、98年以前のパソコン所有者が今年の夏商戦を狙ってパソコンを購入する」という見方が強い。
購入者層がパソコン中級・上級者が多いため、値頃感のある製品でなければ購入しない可能性が高く、大幅なパソコンの販売増につなげることは難しいといえる。
一方で、メーカー各社は5月にコンシューマ向けの出荷台数を前年同月比で40-50%増やした。 6月の販売実績は、デスクトップ・ノートとも、台数・金額で前年割れしているため、メーカーが6月の出荷を大幅に絞り込んでいない限り、在庫が一層増えていくことになる。
あるショップでは、「7月については、仕入れたら売り切れずに不良在庫を抱える危険性が高く、気軽に仕入れられない」と慎重だ。また、「7月第2週までの売れ行きが悪ければ、メーカーは仕切値を下げざるをえないのではないか」と、分析する流通関係者もいる。
在庫を抱えていないショップでは、「メーカーが仕切値を下げるまでは店頭価格を下げない」方針だ。 メーカーがこのまま出荷を続け、過剰在庫が増えることになれば、値崩れが起きる可能性も出てくる。メーカーも販売店も、需給バランスをにらんだギリギリの価格判断をこの夏は強いられることになりそうだ。
サッカーのワールドカップの影響で客足が鈍り、“一時休戦”状態にあったパソコン販売が、7月の訪れとともに夏商戦ヤマ場に突入した。今夏の焦点は1つ。部材価格の高騰にともない、5月下旬に上昇したパソコン本体の価格がこのまま現在の水準を維持できるかどうか。7月の市場は需要が限定されるとの見方もあり、メーカーの過剰出荷による在庫拡大の懸念も払拭しきれない。最近の部材価格の下落で、ビジネス系のデルコンピュータや日本IBMがいち早く価格を下げるなどの動きも出ている。数々の不安材料を抱えながらも、ショップ各社は「少なくとも7月末まではこのままの価格でいくのではないか」と、客足の戻りに期待をつないでいる。
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