その他
「産学協同」を目指す北京・中関村サイエンスパーク
2002/09/23 21:12
週刊BCN 2002年09月23日vol.958掲載
「中国のシリコンバレー」と呼ばれる北京の中関村サイエンスパーク。ここは光学、通信、電子、宇宙、航空、医薬品、バイオ、新素材、情報技術産業などが集まる中国のハイテク産業の最前線である。中国政府も強力な後押しをしてサイエンスパークの開発に力を入れており、海外の民間企業の進出も積極的である。WTO加盟を機にハイテク産業の育成を加速させる中国。世界の製造工場としての顔とは別に、世界の知的発信地にもなろうとしている。中関村サイエンスパークは中国ばかりでなく、アジアのシリコンバレーとして成長する可能性を秘めている。(北京発・吉若徹特派員)
ハイテク産業を集合し「知識輸出」活動へ始動
■加速するハイテク産業開発
北京の北西部に位置する「中関村」には、北京大学、清華大学、中国科学院をはじめとする大学と研究機関が集中している。
1988年に中国・国務院は中国初のハイテク産業開発区として中関村地区周辺を「北京市新技術産業開発試験区」に指定した。99年には「中関村サイエンスパーク(中関村科技園区)」と改称、中関村の新しい歴史が始った。
「中関村では83年頃から10数年を経て、中国科学院から生まれた連想集団、北京大学から生まれた北大方正集団、清華大学から生まれた清華同方集団などのハイテク集団が成長した。88年当時500社程度だった企業数は00年には8000社を超え、外資系企業の研究機関も1500か所を超えるまでになった」(北京市中関村科技園区管理委員会)。
中関村サイエンスパークは中関村地区だけを指すものではない。中関村地区を中核とした中心区とその北西に発展する発展区をひとつの区とした海淀園、新医療とバイオを中心とした昌平園、情報技術関連産業が中心の電子城科技園区、光学・機械・電子産業を中心にした豊台園、輸出型技術集約産業の基地となる亦荘家科技園区の5つの地区で構成されている。
ここではハイテク産業発展のためのさまざまな政策や優遇措置がとられている。ハイテク企業に認定されれば、企業取得税率は15%に低減される(一般企業は33%)。この時、輸出製品生産高が当該年度総生産高の40%以上を占める場合、税務部門の確認を経てさらに低い10%が適用される。また新規にハイテク企業を設立した場合、開業日から3年以内は企業所得税が免除される。
■豊富な人材が武器に
人材の確保も優遇されている。サイエンスパーク内の企業に必要な人材であれば、北京市内の戸籍をもっていなくても全国どこからでも招聘可能になっている。北京市周辺には40以上の大学があり、約40万人の学生が在籍し、毎年10万人以上が卒業しサイエンスパークの人材供給源になっている。
「海外に留学していた人材が毎年3000人は帰国してくる。海外の教育を受けた人材は非常に貴重だ」(北京市中関村科技園区管理委員会)。
北京市内でベンチャーキャピタルを運営する北京漢世紀創業投資顧問の孫軍氏は「日本企業には是非この中関村サイエンスパークに来ていただきたい。私たちは日本のハイテク技術と資金を待っている」と期待する。
また清華大学教授であり大学内でベンチャーキャピタルを主宰する曹達氏は、「私たちは産学協同でハイテク事業を展開している。日本の大学とも連携を取って事業化を試みたい」と話す。
中関村サイエンスパークは、外資系機企業の研究機関と中国の豊富な人材と頭脳を合流させることで、ハイテク先進国を目指している。 世界の工場、大きな市場の次ぎに来るのは「知識輸出」だろう。中国は経済強国としての地歩を固めようとしている。
「中国のシリコンバレー」と呼ばれる北京の中関村サイエンスパーク。ここは光学、通信、電子、宇宙、航空、医薬品、バイオ、新素材、情報技術産業などが集まる中国のハイテク産業の最前線である。中国政府も強力な後押しをしてサイエンスパークの開発に力を入れており、海外の民間企業の進出も積極的である。WTO加盟を機にハイテク産業の育成を加速させる中国。世界の製造工場としての顔とは別に、世界の知的発信地にもなろうとしている。中関村サイエンスパークは中国ばかりでなく、アジアのシリコンバレーとして成長する可能性を秘めている。(北京発・吉若徹特派員)
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