その他
急伸する中国のIT市場 インフラ系ソフトウェア市場は2006年4倍に
2002/09/30 21:12
週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載
WTO加盟を機に中国の経済政策はより開放へ向かうと予想され、世界でも最大規模の市場開発が行われようとしている。とくに情報関連製品市場の規模は大きく、広い土地と安い労働力にひかれ台湾や海外の情報関連業者は早くから進出し、ビジネスチャンスを狙っている。都市部に約4億、農村部に約9億の人口を抱える中国は、2008年開催予定の北京オリンピック、10年開催予定の上海万博の経済効果を背景に、市場形成に弾みをつけようとしている。(北京発・吉若徹特派員)
市場が伸びる7つの理由
中国のIT市場調査会社である北京IDCによると、01年に1833億元(2兆7500億円/1元=約15円)だった中国国内のハードウェア市場は、02年に前年比13.4%増の2179億元(3兆2690億円)になると予測している。
01年に全世界で4.6%のマイナス成長(米国IDC)となったパソコン市場だが、中国市場は前年比13%の2ケタ成長(北京IDC)を遂げ、成長曲線を描き始めた。00年に740万台の出荷だったデスクトップパソコンは、01年に850万台を出荷し、02年には14.8%増の975万台に、また00年に42万台であったノートパソコンは01年に60万台を出荷し、02年には30%増の80万台前後まで需要が伸びると予測する。サーバー市場も同様に01年に対して20%伸びを示し、25万台の市場になるとしている(表1)。
こうした中国市場2ケタ成長の背景を、北京IDCの金羽中ディレクターは次のように分析する。
(1)市場経済の浸透でGDPが伸長、(2)政府が経済特区を設けるなど積極的にIT産業の育成を支援、(3)学校教育現場へのコンピュータ導入で、新しい市場が開拓、(4)コンビニエンスストアやIT関連企業など民間の中小企業にもコンピュータが導入され始め、民間市場の開拓が進む、(5)通信機器や通信環境などのインフラが整備、(6)携帯電話の普及によってコミュニケーション分野が成長し、IT産業を後押し、(7)WTO加盟によって海外企業が参入し、市場競争原理が働き始めた、などをあげている。
ハードウェア市場の成長については、「機器そのものの機能が強化され、価格も安価になって普及はさらに促進されるだろう。中国はまだデスクトップパソコンが大きなウェイトを占めているが、今後はノートパソコンの成長が著しく上昇し、デスクトップと同等まで普及すると考えている」(金羽中ディレクター)と、ノートの成長に期待を寄せる。
中国では液晶ディスプレイの生産能力がまだ低い。中国で国内市場用に液晶ディスプレイが量産され始めると、中国国内のノートパソコン市場は一気に加速すると思われる。現在中国の店頭ではノートパソコンは約1万元(約15万円)で販売されている。北京の中堅企業に勤務する30歳前後の会社員の月収が4000-6000元(6-9万円)。個人で購入するには少々割高といえる。
IT化へ積極的な中国政府
中国のソフトウェア市場も大きく成長している。米IDCによると、中国の01年のソフトウェア市場規模は16億USドル(約1960億円/1USドル=約122円)。とくに成長著しいのがセキュリティやストレージ、ネットワークマネジメントなどのインフラソフトウェアである。
IDCはこのインフラソフトウェアの成長は年率平均30%以上で成長し、06年には01年の4倍の市場に成長すると予測している(表2・3)。
「中国IT市場はハードウェアと同時にソフトウェアやサービス・サポートも大きく伸びる。とくにセキュリティやネットワークなどインフラ系のソフトウェアは国づくりを支援することもあり、中国政府との連携で成長が見込まれる」(コンピュータ・アソシエイツ北京・謝春類氏)。
中国政府は全国の90%の小・中学校のインターネットアクセス環境を整備しようとしており、教育分野向けの市場拡大も見込まれる。
また、北京や天津、河北省などの北部や東部、南部の主要都市で市場開発が行われることで、新規需要と買い替え需要の循環がIT産業の成長を継続すると見込んでいる。「西部地区の大開発効果も見逃せない」(金羽中ディレクター)という。今、中国はWTO加盟を機に、政府、民間を挙げてIT立国へ向かい始めた。
WTO加盟を機に中国の経済政策はより開放へ向かうと予想され、世界でも最大規模の市場開発が行われようとしている。とくに情報関連製品市場の規模は大きく、広い土地と安い労働力にひかれ台湾や海外の情報関連業者は早くから進出し、ビジネスチャンスを狙っている。都市部に約4億、農村部に約9億の人口を抱える中国は、2008年開催予定の北京オリンピック、10年開催予定の上海万博の経済効果を背景に、市場形成に弾みをつけようとしている。(北京発・吉若徹特派員)
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