その他
対中小企業向けビジネス 「出入り業者」からの脱皮を
2002/10/14 15:00
週刊BCN 2002年10月14日vol.961掲載
マイクロソフトが昨年10月から実施してきた経営者向けITセミナー「IT実践塾」では、予想を超えた事例が数多く飛び出したそうだ。そのなかに、「30台のパソコンに30台のプリンタがつながっている」という事例があったという。つまり、1台のパソコンに1台のプリンタが接続されているのだ。もちろん、LANによって1台のプリンタを共有する環境を作ることは十分に可能だ。どうしても1台のパソコンに1台のプリンタが必要だったわけではない。(三浦優子●取材・文)
それにも関わらず、1台のパソコンに1台のプリンタという状況になってしまったのは、その企業に「プリンタ共有というものができますよ」と助言する人が誰もいなかったからのようだ。しかし、30台のプリンタを導入した企業には、それを販売した業者がいたはずだ。なぜ、企業に対し、プリンタ共有という手段があることを伝えなかったのか。中小企業のIT市場開拓を担当するマイクロソフト・眞柄泰利取締役は、「おそらく、販売した会社はどこかおかしいと思っていながら、お客さんが言うのだからと商品を販売してしまったのではないか」と分析する。
確かに、顧客が注文したものに対して、「1台のパソコンに1台のプリンタをつなぐ必要はない」と声をかけるのは難しい。売り上げから考えても、顧客が30台プリンタを欲しいといっているところに、1台で済ませてしまえば、販売額は下がる。しかし、「中小企業向けにITを導入するビジネスを立ち上げる」ためには、「パソコンをネットワークでつないで、プリンタ共有という方法がありますが…」と声をかけることが必要である。中小企業向けのビジネスで成功している業者は、「顧客から、先生って呼ばれてしまって」と苦笑いしている。
顧客にとってメリットがある提案を行うことで、単なる出入り業者から信頼できる「先生」に昇格してしまうようだ。顧客の要望だからといって、30台のパソコンに30台のプリンタをそのまま販売する業者は、いつまでも出入り業者のままで、「先生」に昇格することはないだろう。メーカー側も、中小企業市場を開拓していくためには、販売業者よりも「先生」となって、経営コンサルティング的な助言ができるパートナーをつくっていこうとしている。業務ソフトメーカーのインテュイットは、会計事務所向けソリューション「MARCHプロジェクト」をスタートした。「このプロジェクトをプラットフォームとして、単なる会計処理にとどまらず、ITコンサルティング、経営コンサルティング支援、資金調達支援などの役割を会計事務所は担ってもらいたい」(インテュイット・古賀早執行役員)と提言する。
中小企業から「先生」と呼ばれてきた会計の専門家を、IT導入にも活用していこうというわけだ。メーカーが会計士などを活用するようになれば、中小企業向けビジネスを行っている販売店やディーラーにとって、会計士などがビジネスのパートナーとなる場面もあるだろう。また、逆に競合相手となる場面も出てくる。会計士側もこれを歓迎しているようで、ITコーディネータの有資格者は、会計士・税理士が高い割合を占めているという。メーカーの直販、インターネットを活用したウェブ販売など競合も増加していることも考慮すれば、販売店、ディーラーにとって単なる物売りからの脱却を真剣に検討すべき時期だろう。
マイクロソフトが昨年10月から実施してきた経営者向けITセミナー「IT実践塾」では、予想を超えた事例が数多く飛び出したそうだ。そのなかに、「30台のパソコンに30台のプリンタがつながっている」という事例があったという。つまり、1台のパソコンに1台のプリンタが接続されているのだ。もちろん、LANによって1台のプリンタを共有する環境を作ることは十分に可能だ。どうしても1台のパソコンに1台のプリンタが必要だったわけではない。(三浦優子●取材・文)
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