その他
どうするストレージ管理 SAN同士の接続に決め手なし
2002/12/09 15:00
週刊BCN 2002年12月09日vol.969掲載
ストレージコンソリデーション(記憶装置の統合・管理)の動きが加速するなか、企業内のローカルSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)同士の接続が、情報システム部門にとって大きな課題となっている。分散するストレージアイランドを結ぶには、iSCSI、FCIP、iFCPなどのプロトコルがあるが、いずれも主流といえる段階にない。こうしたなか、ベンダー各社はどのような動きを見せようとしているのか。(大河原克行●取材/文)
iSCSIをめぐるベンダー各社の動向
■iSCSI、決定打にならず
企業においてストレージコンソリデーション/サーバーコンソリデーションは、重要な関心事となっている。とくに、離れた拠点との接続は、ディザスタリカバリ(障害復旧)という観点からも極めて重視されている。
ダークファイバーを利用した拠点間接続や、FC-SANによる接続もあるが、投資コストが高かったり、100km以上の接続には適さなかったりと、それぞれに問題がある。これらを解決する手法として、iSCSI、FCIP、iFCPなどのプロトコルが注目を集めているのだ。 だが、これらに関しても、決定的なものとはなっていない。
iSCSIの推進役の1社だった日本アイ・ビー・エム(日本IBM)では、「規格策定以降、残念ながらiSCSIを期待通りに普及させることはできなかった」と反省する。事実、同社のiSCSI戦略は腰砕けになった感が否めない。
また、シスコシステムズも、日本における製品投入の遅れによって、iSCSIの普及戦略が計画通りでないことを認める。
その背景には、規格の標準化が遅れたこと、さらにコスト面や容易性などでユーザー側に過剰な期待を抱かせたことが見逃せない。転送速度に関しても10ギガビットイーサネットの普及まで待たなくてはならないという点も、マイナスに影響した。
また、推進役の2社とも、日本IBMの「ハイブリッドSAN」戦略に代表されるように、マルチプロトコル対応の展開を強化しており、iSCSIに特化するという姿勢は早くも崩れている。これも将来性に対するユーザーの不安を煽ったといえる。
シスコシステムズでは、2003年第1四半期(1-3月期)から、iSCSI、FCIPなどのマルチレイヤプロトコルに対応した統合スイッチ「Cisco MDS9000」シリーズを出荷すると発表。同製品は、今年8月に米アンディアモシステムズの買収によって投入されたネットワークストレージ分野向けの戦略的製品と位置づけている。
これによって、同社のマルチレイヤプロトコル戦略が加速されることになるが、関係者の間では、むしろFCIPに力を注ぐ布石との見方も出ている。
■今後の標準化に期待
一方、iSCSIには静観している米EMCのジョセフ・M・トゥッチCEOは、「iSCSIは、今後も進化することで、その時代がやって来るだろう。しかし、iSCSIのコストが低いという期待は裏切られており、FC(ファイバーチャネル)の世界を切り崩すのにはまだ数年かかる」と話す。
インターネット上で開発される各種新技術の標準化に取り組むコンソーシアム「IETF」での標準化作業が開始されたことで、今後、関連製品の開発にも拍車がかかる可能性があるが、トゥッチCEOが指摘するように、まだ時間がかかるのは明らかだ。
一般的に、iSCSIの2倍のスループットを実現するといわれるFCIPも、iFCP、そしてiSCSIの強力な対抗馬とも目されるinfinibandも決定打となり得ていない。
非同期であることから、同期でのミラーリングを行いたいユーザーには適していないという点や、まだ参加企業が少なかったり、といったそれぞれの問題があるからだ。
ベンダーやシステムインテグレータは、こうした動きに最終的な判断を下せずにいるというのが実状。どれが主流になるかの判断は、少なくとも来年以降に持ち越されることになる。
ストレージコンソリデーション(記憶装置の統合・管理)の動きが加速するなか、企業内のローカルSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)同士の接続が、情報システム部門にとって大きな課題となっている。分散するストレージアイランドを結ぶには、iSCSI、FCIP、iFCPなどのプロトコルがあるが、いずれも主流といえる段階にない。こうしたなか、ベンダー各社はどのような動きを見せようとしているのか。(大河原克行●取材/文)
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