その他
IT投資促進税制 利用促進に向け、業界動き出す
2003/02/24 15:00
週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載
景気回復への呼び水として期待される「IT投資促進税制」を巡り、IT業界の動きが活発化してきた。この国会を通れば、今年1月1日に遡って総額6000億円超もの減税措置が講じられるだけに、業界団体や一部のIT関連企業は、減税制度の仕組みなどについて理解を深め、これを生かしたIT投資を喚起しようと必死だ。過去実施されてきた減税制度は、「存在そのものを知らない」といったユーザーも多く、PR不足の感は否めなかった。それだけに、今回の大規模な減税は業界が一丸となり利用促進を呼びかけたいところ。だが一方で、大手ベンダーの間には、「まだ国会も通っていない」、「より詳細が決まらなければ」といった消極姿勢も目立つ。
気になる大手ベンダーの消極姿勢
日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA)、日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)などでは、「IT投資促進税制」をテーマにした積極的なセミナー活動を行っている。JPSAではすでに2回のセミナーを実施し、これから全国展開に乗り出す方針。また、JCSSAはいち早く全国行脚を開始し、2月だけで全国5か所を回る。
「政府の期待を裏切らないように努力する」(梅崎哲雄・JCSSA会長=丸紅インフォテック社長)、「これまでの減税対策では、エンドユーザーの意識の方が高かったくらい。それでは業界として恥ずかしい。無駄にしないように全体で盛り上げるよう推進していく」(山内敏嗣・JPSA専務理事)と、意気込みを示す。
一部のIT関連企業も積極的だ。大塚商会では、新税制の仕組みや内容を簡略化した説明書を作成。第一線の営業部門に配布し、すでに商談の場でも利用している。ダイワボウ情報システムでも、社内研修の機会を頻繁に設け、全社的に理解を深めるよう努めているという。
業界団体が主催するセミナーでは、参加者からの具体的な質問が飛び交う。ある参加者は、「この経済状況下において、願ってもない業績アップのチャンス。現段階では分かりにくい部分もあるが、実施が決まれば1月1日に遡り適用されるので、少しでも早くから取り組んでいきたい」と意欲的だ。
一方、これに対し、大手主要メーカーの動きは鈍い。NEC、富士通、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)では、「まだ全社的な取り組みはない」と、口を揃える。富士通では、「リーフレットやウェブでの情報公開を進めていく」としていたが、まだ動きはみられない。
NECも、過去の減税制度についてはウェブでの情報公開などを進めていたが、今回は「まだ、これからの段階」という。また、日本IBMでは、「これまでも全社的な取り組みは行ってこなかったし、今後も予定はない」としており、積極的に取り組む企業との間で温度差がある印象を受ける。大手メーカーを中心に組織する電子情報技術産業協会(JEITA)にしても、「IT投資促進税制」に関する説明会は、2月に1度開いたきりだ。
ユーザーの立場でITの利用促進に取り組む団体、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の細川泰秀専務理事は、「ユーザーの『IT投資促進税制』に対する関心は、これまでの減税措置よりも、大企業、中小企業問わず非常に高い。それに比べ、IT業界のアピールは足らないのではないか。当協会はユーザーだけでなく、IT業界のベンダーも会員にいるが、ユーザー会員の方が本税制に関して、積極的な印象を受ける」と語る。
「現段階で業界に求めることは、とにかく広げてもらうこと」――。経済産業省商務情報政策局情報処理振興課の河野太志課長補佐は訴える。「まだ国会を通っておらず、詳細も決まっていないため、動きづらい気持ちも分かる。しかし、広く浸透したとは言い難いこれまでの減税制度と同様、蕫広める﨟という根本的なことに今から取り組まない限り、同じことの繰り返しになる」と懸念する。
せっかく創設されようとしている「IT投資促進税制」に対し、大手ベンダーの動きは鈍い。ユーザー企業の多くが新しい年度を迎える4月を前に、IT投資の予算枠を確保してもらうには、この2―3月がアピールの絶好の機会でもあり、正念場であるにもかかわらず、消極的な印象は拭えない。しかも、今回の減税措置で、最も恩恵を受けるのは大手ベンダーであることに外ならない。
一部の積極的な企業にアピールを委ねるのではなく、業界全体でこの減税措置を理解し、IT投資復活への気運を盛り上げていこうという姿勢がいま求められている。
景気回復への呼び水として期待される「IT投資促進税制」を巡り、IT業界の動きが活発化してきた。この国会を通れば、今年1月1日に遡って総額6000億円超もの減税措置が講じられるだけに、業界団体や一部のIT関連企業は、減税制度の仕組みなどについて理解を深め、これを生かしたIT投資を喚起しようと必死だ。過去実施されてきた減税制度は、「存在そのものを知らない」といったユーザーも多く、PR不足の感は否めなかった。それだけに、今回の大規模な減税は業界が一丸となり利用促進を呼びかけたいところ。だが一方で、大手ベンダーの間には、「まだ国会も通っていない」、「より詳細が決まらなければ」といった消極姿勢も目立つ。
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