その他
東芝の新中期経営計画
2003/03/17 21:12
週刊BCN 2003年03月17日vol.982掲載
東芝が2003年度(04年3月期)からスタートする中期経営計画を発表した。岡村正社長はこの中期経営計画を、「01アクションプランの推進により強化された経営体質をベースに、東芝グループが進む中長期的方向を明確化する」ものだと位置づける。
ノートで首位奪回を宣言
注力事業のドメイン(領域)を、パソコンやサーバー製品、テレビなどを扱う「デジタルプロダクツ事業」、半導体を扱う「電子デバイス事業」、重電などの「社会インフラ事業」の3分野に絞り込む。社内カンパニーとして、デジタルプロダクツ事業内に「モバイルコミュニケーション社」と「デジタルメディアネットワーク社」を、電子デバイス事業内に「セミコンダクター社」を、社会インフラ事業に「電力・社会システム社」、「社会ネットワークインフラ社」を置くが、ディスプレイ・部品材料社、e―ソリューション社、医用システム社、家電機器社については分社化し、それぞれのグループ会社との統合・再編を図る。
岡村社長は、「デジタルプロダクツ事業のように、成長性は高いが振幅の大きい事業と、社会インフラ事業のように、成長性は低いものの安定成長が見込める事業の両方をもつことが東芝の強みだ」とアピールする。重点3分野の売上高は、今年度(03年3月期)見込みで3兆4000億円弱。全社売上高の見込みが5兆6500億円であるのに対し、7500億円分の事業が分社化されることになるが、経営の効率化などでメリットとなると説明する。経営体制としては、4月1日付で事業グループ分担役員制度を導入。各社内カンパニーをプロフィットセンターとして、個別の事業強化を図る一方、経営のスピードアップを狙う。
パソコンを管轄するデジタルメディアネットワーク社とモバイルコミュニケーション社の分担役員は、これまでデジタルメディアネットワーク社のカンパニー社長であった西田厚聰上席常務が、デジタルメディアネットワーク社社長には同カンパニー副社長であった新田義廣常務が、モバイルコミュニケーション社社長には同カンパニーの営業統括責任者であった横田親廣氏がそれぞれ就任する。大手電機各社が新しい中期経営計画の発表を行っているが、同じ重電をもつ日立製作所と比較すると、東芝の中期経営計画の特徴がよくわかる。日立は、ソリューションへの移行を強く意識した計画となっているのに対して、東芝はソリューションよりも製品に重きを置いた中期経営計画である。それが最も如実にあらわれているのがパソコンだ。
日立の新中期経営計画には、パソコンという言葉は1回も出てくることはないが、東芝では岡村社長自身が、「ワイヤレスやAVメディア、燃料電池など、新技術を投入することで他社をリードし、ノートパソコンの世界シェアでナンバーワンの座を奪回する」と宣言。販売チャネルについても、「企業市場で当社の最大のライバルであるデルコンピュータとの差が開いているのは、流通を通すことによるコスト面の差。それを埋めるために、直販チャネルを強化する」と、具体的なシェア奪回策まで示している。また、大半の企業が半導体事業を分社化するのに対し、半導体事業を注力事業の1つと位置づけていることも、東芝が半導体まで含めた製品事業へのこだわりを見せている表れではないか。注力事業を絞り込んだとはいえ、総合電機メーカーとして製品は自社で作り上げようとする東芝の自負心が透けて見える。(三浦優子●取材・文)
東芝が2003年度(04年3月期)からスタートする中期経営計画を発表した。岡村正社長はこの中期経営計画を、「01アクションプランの推進により強化された経営体質をベースに、東芝グループが進む中長期的方向を明確化する」ものだと位置づける。
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