その他
システム販社、付加価値だけで穴埋めできるか?
2003/04/14 15:00
週刊BCN 2003年04月14日vol.986掲載
サーバーの価格が一段と下がってきた。4月に入り日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が今年3回目の大幅値下げを発表したのに続き、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)も最大29%の値下げを実施した。システム販社幹部は、「3月の年度末需要を狙った値下げは以前からあったが、新年度早々から速いペースで値下げ競争が激化している」と警戒感を強める。
サーバーの低価格化が加速
今年度は、サーバー価格が前年度に比べ2-3割は下がる――。システム販社の一致した見方だ。年商100億円のシステム販社で、仮にハード比率が約50%だとして、このうち約半分が値下げ競争が激しい低価格サーバーが占めたとすると、単純計算で年間最大7億円強の売り上げダウンになる。
システム販社の多くは、「利益の源泉はソフト・サービスやシステム構築など付加価値部分にある。サーバーの低価格化が進んでも利益に対するインパクトは小さい」(大塚商会)、「ハードの継続的な低価格化は織り込み済み」(富士通ビジネスシステム)と冷静に構える。
しかし一方で、「メインフレームを長年手がけてきた経験上、サーバー本体の値段が下がるなかで、ソフト・サービスの価格だけを維持することは難しい」(蓮川洋一・NEC東芝情報システム常務取締役)と分析するシステム販社もある。
ハード本体の価格に比べ、ソフト・サービスの価格が抜きん出て高いという状態は、早晩是正されるのではないかという見方だ。「最小構成のサーバー価格が7万円まで下がると、設置料やソフト価格などが本体価格を大幅に上回り、バランスが悪くなる」という声も聞こえてくる。
仮に、サーバーの本体価格に見合う低価格のソフト・サービスを打ち出す動きが新手のシステム販社を中心に強まれば、「バランス是正」の傾向が強まる可能性もある。
また、ベンダー系販社は、親会社のハードベンダーに対する“トップ販社”であり続けることも重要な要素である。
日本ビジネスコンピューター(JBCC)の仲西椙夫・常務執行役員取締役は、「昨年度(2003年3月期)は、われわれの予想より10%強下回る前年度比約30%のハード単価の下落があった。今年度は4月早々から値下げ競争が激化しており、昨年度と同様の低価格化が進むだろう。ハードの販売額を前年度並みに維持するためには、販売台数を2-3割増やさなければならない」と焦りを隠さない。
アジア太平洋地域でIBMのトップ販社を自負するJBCCでは、なおさらこの意識が強い。ほかのベンダー系販社も、ハード販売を放棄することはできず、苦しい選択を迫られることになる。
この3月末まで、日立製作所の販売子会社である日立エイチ・ビー・エムの社長を務めた林雅博・日立製作所情報・通信グループソリューション部門CEOは、「販売子会社の社長を2年務めて、システム構築の基礎部分となるハードの価格競争力の重要性は十分に理解できた。しかし、だからといって他社の安いハードにシステムだけを販売して収益を得たとしても、販売子会社としての役割は果たせない」と話す。
これに対し、新しく就任した同社の朝井康正社長は、サーバーなどハードの絶対的なボリュームは維持しつつ、「システム構築の売上比率を現在の約3割から5割へと、相対的に高めることで収益性を高める」と答える。
ハード価格の下落が加速するなか、より一層収益構造の改革を急ぐ必要に迫られている。
サーバーの価格が一段と下がってきた。4月に入り日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が今年3回目の大幅値下げを発表したのに続き、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)も最大29%の値下げを実施した。システム販社幹部は、「3月の年度末需要を狙った値下げは以前からあったが、新年度早々から速いペースで値下げ競争が激化している」と警戒感を強める。
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