その他
アプリケーションサーバー市場
2003/06/09 15:00
週刊BCN 2003年06月09日vol.993掲載
IT市場で急成長するアプリケーションサーバー。国内では日本アイ・ビー・エム(日本IBM)や日本BEAシステムズ(日本BEA)、日本オラクルなどによる、その蕫肥沃な土地﨟に向けたシェア争いが騒がしくなってきた。
日本オラクルが“起爆剤”に IT市場で急成長するアプリケーションサーバー。国内では日本アイ・ビー・エム(日本IBM)や日本BEAシステムズ(日本BEA)、日本オラクルなどによる、その“肥沃な土地”に向けたシェア争いが騒がしくなってきた。5月、日本オラクルがアプリケーションサーバー市場に向けた新製品として、J2EE1・3に準拠した低価格版の「Oracle9i Application Server Java Edition(9i)」を発表するとともに、驚くべき戦略を打ち出したからだ。 日本オラクルも認めるように、今回は国内市場でシェアを確保している日本IBMの「ウェブスフィア」と日本BEAの「ウェブロジック」に対して、「9i」は後発的なリリースとなった。後発であるがゆえに、日本オラクルは急激なシェア獲得を図ろうと、「過激な戦略」(西脇資哲・マーケティング本部9iビジネス推進グループ担当シニアマネジャー)を選択した。その1つが、特定企業の蕫狙い打ち戦術﨟。「ウェブロジック」を導入するユーザーを対象に、既購入ライセンスと同等の条件で「9i」を無償提供するという期間限定の「乗り換えキャンペーン」を開始した。米オラクルでは、3か月ほど前から同様の戦術を敢行していたが、「日本でも実施するとは思わなかった」と、日本BEAの伊藤敬・チーフテクニカルストラテジストは驚いたという。 5月の記者会見で日本オラクルの新宅正明社長は、「アプリケーションサーバー市場で、今後3年間(2006年まで)に現在のシェア5-7%を25%まで伸ばす」と宣言した。西脇シニアマネジャーは、「アプリケーションサーバーは、データベースのように完成された市場ではないので、(可能性は高く)無理な数字ではない」と強調する。日本オラクルが「ウェブロジック」を狙い撃ちするのは、パフォーマンスや機能、技術サポート、コストなどの面で「9i」より劣っているというのが理由だ。トップシェアを狙うには、日本IBMの「ウェブスフィア」に対するアプローチも必要だが、「『9i』の方が機能・性能を大きく引き離し有意であるものの、日本IBMを相手にするには、当社の営業力がまだ不足している」(新宅社長)と、焦点を「ウェブロジック」に絞った理由を説明する。 キャンペーンが始まって1か月弱。日本オラクルは、「乗り換え希望がエンドユーザーから徐々に届いている」(西脇シニアマネジャー)という。一方の日本BEAは、「実績がない製品に、ユーザーが安易に乗り換えに同調するとは思えない」(伊藤チーフ)とした上で、「当社への影響はない」(同)と静観する。今回の動きについて、日本オラクルと取引があるシステムインテグレータは、アプリケーションサーバーがデータベースと密接に連動していることから、「日本オラクルは自分の蕫牙城﨟であるデータベースの主要プレーヤーの座を死守しようとしているのではないか」と語る。 そう考えると、日本オラクルが狙う“本丸”は、日本IBMのデータベース「DB2」ということになる。だが、今回の一件を一過性の出来事として否定的に捉えたくない。アプリケーションサーバーに対する関心が高まりを見せたからだ。IT業界が好調な頃は、競合会社を名指しするキャンペーンは盛んに行われてきた。切磋琢磨するなかで市場が成長してきた。アプリケーションサーバーを選択するユーザー側が、関心を寄せる起爆剤になったと期待したい。(谷畑良胤●取材/文)
IT市場で急成長するアプリケーションサーバー。国内では日本アイ・ビー・エム(日本IBM)や日本BEAシステムズ(日本BEA)、日本オラクルなどによる、その蕫肥沃な土地﨟に向けたシェア争いが騒がしくなってきた。
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