その他
「時代の担い手になるのが使命」 積極的なIT化を図る白石市
2003/07/07 21:12
週刊BCN 2003年07月07日vol.997掲載
宮城県白石市は、全国で3番目に電子投票を実施したことで注目を集めた。導入した効果は、開票時間の短縮を実現したことに加え、投票率が若干上昇したことにもあらわれている。住民に対して利便性が高いシステムだと印象づけたこともメリットになった。「ITを道具として最大限活用し、時代の担い手になることが行政の使命」というのが川井貞一・白石市長の考え。「コンピュータシステムを導入することで業務効率を実現し、住民とフェイス・ツー・フェイスのコミュニケーションを一層図れることがIT化の意義だ」と強調する。(佐相彰彦●取材/文)
市民の情報リテラシー向上に注力
■開票時間半減、投票率アップ
宮城県白石市は、今年4月27日の市議会議員選挙に電子投票を導入した。投票所数は38か所。電子投票の端末110台、開票・集計装置2台を導入した。投資額は601万8600円で、東芝がシステムの構築を手がけた。
投票までの流れは、有権者が選挙管理委員会から送付される選挙人カードを従来通り投票所に持参し、専用のカードと交換。投票端末は、操作しやすいようにタッチパネル方式を採用。同端末にカードを差し込めば画面に候補者の名前が表示され、指を触れるだけで投票が完了する。
開票では、各投票所から開票所まで投票結果を格納した記録媒体を運搬し、開票用のコンピュータで集計する。不在者投票に関しては、従来通りの紙方式であるため、これまで同様に手作業で開票、集計する。
川井・白石市長は、「投票率が72.5%と、前回の選挙と比較して若干上昇した。無効票がなかったことが大きな効果だったことに加え、投票者に対して電子投票は便利だと印象づけることができた。開票時間は前回の約半分に短縮できたことで、業務効率化につながった」と、導入したメリットの大きさ強調している。
白石市の電子投票への取り組みは、岡山県新見市、広島県広島市に続いて全国で3番目。「政府機関をはじめ、さまざまな自治体からの問い合わせや訪問がある」(川井市長)と、電子投票に対する関心が自治体間に広がっていることを示す。
■早い段階でIT化に着手
白石市では、96年度から97年度にかけて、総務省(旧郵政省)の「自治体ネットワーク施設整備事業」と国土交通省(旧国土庁)の「地域間交流支援事業」などにより、総額約11億5000万円の補助金を受けて、白石市情報センター「ATHENS(アテネ)」の建設・設備整備や本庁舎のLAN構築などに着手した。
「アテネ」は、98年10月にオープン。パソコンが利用できるコーナーやパソコン上で健康センターや福祉センターの担当者に相談できるコーナー、ビデオの収録・編集が行えるスタジオなども設置して市民の情報リテラシー向上を図っている。また、アテネを中心に、白石市役所とのネットワークを接続したほか、白石市中央公民館や学校、図書館などの公共施設を結び、地域イントラネットを構築している。
比較的早い段階からIT化に着手した背景について、川井市長は「情報化計画の地域を結ぶ『全国グリーントピア構想推進協議会』に取り組んでいたため」と語る。同協議会は、農業農村を中心とする地域情報化を計画した各地区の連携を図る機関で、情報ネットワーク化構築の支援が目的。86年に設立し、川井市長が協議会の会長を務めており、「この機関が白石市のIT人材を育成する原動力となった」という。
積極的にIT化を図るのは、「インターネット革命は産業革命に匹敵する。最大限に活用することで、行政が時代の担い手になり、最適な市民サービスを提供することができる」とIT導入のメリットを強調しており、「電子投票を行ったのは、IT化を進めていくうえで当たり前のこと」と言い切る。
今後は、「行政が何でも提供すれば、それでサービスの向上につながるということではない。市民を『パートナー』として位置づけ、インターネットを通じてコミュニケーションを図っていくことが重要」と、行政と市民のつながりを重視したIT施策を模索する。
宮城県白石市は、全国で3番目に電子投票を実施したことで注目を集めた。導入した効果は、開票時間の短縮を実現したことに加え、投票率が若干上昇したことにもあらわれている。住民に対して利便性が高いシステムだと印象づけたこともメリットになった。「ITを道具として最大限活用し、時代の担い手になることが行政の使命」というのが川井貞一・白石市長の考え。「コンピュータシステムを導入することで業務効率を実現し、住民とフェイス・ツー・フェイスのコミュニケーションを一層図れることがIT化の意義だ」と強調する。(佐相彰彦●取材/文)
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