昨年度のBCN AWARDで、記録型DVDドライブ部門でNo.1を受賞したアイ・オー・データ機器。今年も売りやすく、ユーザーが購入しやすい製品を提供していきたいと考えている。ユーザーニーズにあった商品を投入し続けている同社。今年はDVDマルチプラスドライブを投入する。全規格に対応した商品だけに、業界の注目も集めている。ドライブだけではなく周辺機器との連携機能も強化した販売戦略もうかがった。
5規格対応、DVDドライブ投入
■97年、DVD市場に参入、今後はマルチプラスドライブ
アイ・オー・データ機器は、94年の内蔵型CD-ROMドライブを皮切りに、96年CD-RWドライブ、97年DVD-ROMドライブ、2000年DVD-RAM、複合型コンボドライブなど、光学系ドライブ製品を次々と投入し、市場を牽引した。
DVD-ROMを市場に投入する際、社内でも議論があったという。
「97年当時は、まだDVDが一般化していませんでした。しかし、アメリカ市場のゲームのDVD-ROMやレンタルビデオ業界では、DVDに移行していこうという動きがありました。そこで、DVD市場への参入を決意しました」(開発部プロダクト・マーケティング課・堀岡宏至課長)
他社に先駆けて記録型DVDドライブを市場投入してきた、アイ・オー・データ機器。この選択が、ユーザーのニーズと合致した。今年は、DVD±R/RW、DVD-RAMとすべてのフォーマットに対応したDVDマルチプラスドライブDVR-ABH4(内蔵)とDVR-UEH4(外付け USB2.0、IEEE1394)を発売する。
「どの規格が普及するかについては、私たちメーカーが決めるものではなく、ユーザーが選ぶべきだと考えております。当社としましては、特定の企画に固執するのではなく、全ての“規格”が使える製品を提供することによって、どの規格を選べばよいのかわからないユーザーへの訴求を続けております」(堀岡課長)
書き込み速度にも留意し、±Rが4倍、-RWが2倍、+RWが2.4倍、RAMが3倍という速度を実現した。高速ドライブになるほど電磁波の影響も受けやすくなるが、DVR-ABH4は電磁波対策であるVCCI Class-Bを取得し、電磁波ノイズの耐性を強くした。

「DVD-RAMという選択は、ポイントとなっている」と、堀岡課長。すでに民生用のDVDレコーダやストレージとして利用しているユーザーは、RAMが必須だという。
「DVD-RAMに関しては、規格の話だけではなく、独立した需要が存在しています。DVD-RAMが必要ないといったユーザー向けに、当社ではDVD-R/RW、DVD+R/RWに対応している製品も平行して販売していきます」
DVDマルチプラスドライブの投入により、従来のラインナップ戦略を抜けなく展開することも可能となった。単一フォーマットに対応している製品が必要なユーザーから、どの規格の製品を購入していいかわからないユーザーまで、幅広いユーザーニーズに応えている。
「当社では、記録型DVDはCD-Rの延長ではないと考えています」と、堀岡課長。CD-Rは、オリジナルの音楽CDを作るという用途のために普及したという要素があるという。
「LPレコードをテープに録音して車で聞くという流れです。これは、いわゆる趣味の領域ですよね。一方記録型DVDは、そうではない。趣味で動画を編集するという需要より、発表会やセミナーなどをDVカメラで撮影し、動画を編集するという需要が多いのではないかと。また、パソコンで動画をみるというスタンスも、少し無理があるのではないかと考えています。動画はやはりTVで見たいのではないでしょうか。一方、民生用のDVDでは、録画は得意ですが編集は苦手です。その問題を解決する製品として、当社のDVDを位置づけております」(堀岡課長)
■ユーザーの利便性にも工夫
バンドルさせるソフトウェアにも、妥協を許さない。通常、ハイエンドのユーザーを意識し、動画を扱うソフトとしてプロ仕様のソフトウェアがバンドルされるケースが多かった。しかし、記録型DVDの急激な普及により、ミドルレンジや初心者といったユーザー層が厚くなってきた。これらのユーザーにとって、ハイエンド向けソフトを使いこなすことは困難であった。アイ・オー・データ機器は、初心者でもカンタンに扱えるように、ソフトウェアの工夫はもちろんのこと、わかりやすいマニュアルの添付など工夫に余念がない。また、初心者ユーザーに対しての購入動機となるように、月100万アクセスのDVD総合サイト「DVDio(ディヴィディオ)」を開設。DVD購入前に製品についての理解を深めるとともに、どの製品がユーザーの使用目的に合っているかなどの情報を提供している。
周辺機器を総合的に扱っているアイ・オー・データ機器では、記録型DVDと同社製のキャプチャ製品などと併用することで、ダイレクトレコーディング機能やリアルタイムレコーディングなど、一歩踏み込んだ使い方も訴求している。同社製の製品を組み合わせることで、ソフトウェアの連携や相性の問題もクリアでき、ユーザーは安心して高機能を手にすることができる。周辺機器メーカーとして、ドライブだけではなく、DVD環境そのものをトータルにサポートすることができるのが、当社の強みであろう。
アイ・オー・データ機器は、昨年度のBCN AWARDで、記録型DVDドライブ部門No.1を受賞した。今年の上期も、同部門で首位を獲得している。
「今年上期の受賞は、DVDがどういう製品であるか、何をアピールすればいいのかを理解して販売した結果が認められたのだと考えています。それともちろん、ショップのみなさまにご協力いただいたおかげだと思います」と、開発部長兼マルチメディア事業部長兼資材部担当の島田武次常務取締役。BCN AWARD 2004に向けて、「バンドルソフトなどを工夫し、身近でカンタンに扱えることに注力していきます。そして売りやすく、ユーザーさんも購入しやすい製品を提供していきたいと思っております。その結果として受賞できれば名誉なことだと思っております」と、意気込みを語った。
【BCNへのメッセージ】 BCNさんは、IT業界の業界紙としては主導的な役割を果たしてきていると思っております。1000号達成ということに関して敬意を表します。本当におめでとうございます。今後とも、以前にもまして業界に良い情報を提供し続けてください。当社もBCNに取り上げられる製品を励みとして、ユーザーに優れた製品を提供していきたいと思います。