中小企業のIT投資が本格化

5年前から毎年500社の顧客や取引先を訪問している。1日平均2社のペースでの全国行脚は、これからも続けるつもりだ。訪問して感じるのは、IT投資の水準が依然として低い段階にあるということである。
政府や自治体のIT投資は前向きで、民間、特に中小企業の水準よりも高い。しかし、今後5年間で、今立ち後れ気味の中小企業のIT投資が本格的に立ち上がってくるに違いない。訪問先の企業の多くが、5年前に比べて格段にITリテラシーが高まっており、今後5年間でさらに高まるからだ。
われわれIT業界は、中小企業のIT投資をしっかりと受け止め、顧客のビジネスを成功に導く仕組みをつくらなければならない。
一方、アジアのIT市場を見渡すと、IT投資の水準の高さに驚く。韓国サムスングループの幹部からは、「韓国がリーダーシップを発揮し、日本や中国、シンガポールなどアジア各国をまとめたアジアIT産業カンファレンスを開こう」という話題が出てくる。
彼らの国は、日本のe-Japan計画に相当する高度IT化を早々と済ませ、今は日本や中国に自分たちの成功体験を売り込むべくグローバル戦略を展開している。一方、中国は中国で、電話の普及より早くインターネット時代に突入し、ITによるビジネスの高速化、効率化に努めている。
日本のIT産業トップは、アジアのIT産業のリーダーとして、もう少しグローバルな考え方を強めるべきである。今後5年間で取り組むべき重要なテーマの1つだ。