その他
「政府へのアプローチを強化する」 マイクロソフト新社長が会見
2003/08/11 21:12
週刊BCN 2003年08月11日vol.1002掲載
「需要を創出し、市場を動かす役割を果たしたい」――。マイクロソフト日本法人のマイケル・ローディング新社長が、就任後初の記者会見を開いた。就任から1か月余り。日本法人設立以来、初の米国人社長となるだけに、方針や体制にどのような変化があるのかに注目が集まっていた。だが、一部体制の変更や日本政府へのアプローチを強化するなどの新施策はあったものの、現段階では従来路線と大きな変化はなし。ローディング社長は、「パートナーやIT業界の多くの人が、マイクロソフトに需要を喚起する役割を望んでいる。技術を提供するだけでなく、需要創出に焦点を置く」と市場活性化に意欲を見せた。(三浦優子●取材/文)
現段階では従来路線を踏襲
■BMOにアダム・テイラー取締役就任
新制マイクロソフトにはどのような変化があるのか――。この1点に注目が集まったローディング社長の就任会見だが、発表された内容に大きな戦略の変更はなく、「統合された技術により、ビジネスバリューの拡大を図る」と、エンタープライズからゲーム機「Xbox」まで、日本で展開する事業において信頼性を高め、パートナー、顧客と共にビジネス価値を高めていくことを強調した。
変化があったのは、(1)現在マイクロソフトが全世界的に進めているBMO(ビジネスマーケティングオフィサー)としてアダム・テイラー取締役が着任、(2)日本の政府機関にマイクロソフト製品の採用をアピールするため、マイクロソフトアジアリミテッド内に法務・政策企画統括本部を新設、(3)社員の評価基準を一部変更し、戦略目標を達成できたかなどを評価――といった部分。
マーケティングを統括するテイラー取締役は、「製品開発との連動が強化され、マーケティング活動はより市場に即したものとなるだろう」とプラス面をアピールした。社内からも「マーケティングが米国の意向だけで動くといったことは、現在のところ起こっていない」という。
むしろ、「日本側に気を遣ってオペレーションが行われている」(社内関係者)のが現在の状況だという。
特にローディング社長は39歳と、取締役の中で最も若いこともあって、慎重に日本法人の舵取りを進めていることがうかがえる。
その意味で、平井康文取締役が率いるエンタープライズビジネス、眞柄泰利取締役が率いる中小企業ビジネスといった現場の業務は当面、現行の方針が続いていくことになりそうだ。
「エンタープライズ向けの取り組みとしては、新たなビジネスチャンスを提供するショーケースを積極的に作り、技術だけでなく、ソリューション指向のキャンペーンを各業界向けに行いたい。中小企業向けビジネスは、IT実践塾を全国100都市で開催するなど成果があがっている。これを継続し、さらに拡大していく」(ローディング社長)という。
■Linuxへの牽制も
その一方で、ローディング社長が力を入れているのが、日本政府に対するマイクロソフト製品採用の働きかけである。記者会見でも繰り返し、「日本は知的財産を重視する国。商用ソフトを使用することで、知財保護と活用というサイクルが必要だ」と、政府がLinuxを採用することを牽制する発言が何度もあった。
これは日本法人だけでなく、米マイクロソフト本社でも政府への製品採用を重要な課題だと考えている証でもある。マイクロソフトアジアリミテッドに法務・政策企画統括本部を新設したのも、従来のやり方では日本政府への働きかけが十分ではないと感じたためだろう。ローディング社長の業績が米本社で評価されるか否かを計るポイントの1つが、政府のマイクロソフト製品採用にかかっているといえそうだ。
これは簡単に実現することではない。それだけに、「日本市場での信頼性を高めていく」(ローディング社長)地道な取り組みが必要となっていく。
「需要を創出し、市場を動かす役割を果たしたい」――。マイクロソフト日本法人のマイケル・ローディング新社長が、就任後初の記者会見を開いた。就任から1か月余り。日本法人設立以来、初の米国人社長となるだけに、方針や体制にどのような変化があるのかに注目が集まっていた。だが、一部体制の変更や日本政府へのアプローチを強化するなどの新施策はあったものの、現段階では従来路線と大きな変化はなし。ローディング社長は、「パートナーやIT業界の多くの人が、マイクロソフトに需要を喚起する役割を望んでいる。技術を提供するだけでなく、需要創出に焦点を置く」と市場活性化に意欲を見せた。(三浦優子●取材/文)
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