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<BCN REPORT>米ニューヨークでPCエキスポ開催 少なかった大手企業の出展
2003/09/29 15:00
週刊BCN 2003年09月29日vol.1008掲載
9月15日から18日まで、米ニューヨーク市のジャビッツセンターで開催された「PCエキスポ」。今年で21年目となるこのイベントは、パソコン関連の展示会としては長い歴史をもつ。しかし今回は、これまでにないほどにIT業界の苦境を反映したものになった。今年は最盛期の半分程度の集客しか見込めず、出展企業も減少。IT業界は米国の経済状況下でどのような光明を見い出そうとしているのか。そしてかつてのような活況を再び呈すことが可能なのか。米国のIT不況から、いかに脱出するかを模索する老舗ITイベントの様子をニューヨークからお届けする。(ニューヨーク在住)
IT業界の苦境を反映
■ソニーやデルは出展せず
PCエキスポは、TECHXNY(テックニューヨーク)というITイベントの一環として開催されており、米国では最も伝統ある展示会の1つである。しかし、例年活況を呈するこのイベントも、今年は寂しいものになってしまった。
年々狭くなる一方の会場では、マイクロソフトが最低限のスペースでサーバー用OSのみ展示。ソニーやデル、アドビシステムズ、マクロメディアなど主要企業は一切姿を見せず、出展している大手IT企業は、IBM、ヒューレット・パッカード(HP)、オリンパス光学工業程度だ。
高価な記念品を配るブースもなく、会場内にかつてのような熱気は感じられない。唯一AMDとアイ・トラップのブースでは長い行列が見られたが、これは、AMDがコーヒー、アイ・トラップがポップコーンの無料配布サービスを行ったため。展示と合わせて開催された基調講演も、聴衆は非常に少なく、こちらも決して盛況とはならなかった。
意外なほど小さなブースでの展示にとどまっていた某周辺機器メーカーは、「どうしても出展してくれと頼まれ、断りきれなくなってしまった。結局一週間前になってから、無償で出展を引き受けることになった」と話す。今や出展企業の確保にも苦労しているようだ。
■中小企業はデモに積極的
それでも、このイベントを重要視している企業はいまだに多い。IBMはノートパソコン、HPはデスクトップの新製品をずらりと並べた。セキュリティ技術やネット保守技術を提供するタラペーゼやキャッスルなどの企業のブースは、今年8月のウイルス騒ぎや大停電などの教訓からか、それぞれ活況を見せていた。
また、大手企業が不在の今年を絶好の好機到来と見た中小企業は、各社ともデモンストレーションに力を入れていた。今や一大アウトソーシング地域となったインドをはじめとするアジアのほか、ルーマニアやブルガリアなど東欧諸国からの出展も数多く見られた。
■過渡期を迎える展示会ビジネス
このような経済状況下であるからこそ、ビジネスに直結するクライアントを探すことが重要と考える企業は多い。
サーバー管理ユーティリティを提供するアドレム社のウォルデック・シェーファー・アカウントマネージャーは、「このイベントでは自社の技術を業界関係者に知ってもらうことが重要。出展している他社も将来の願客として考えている」と話す。ネットワークセキュリティのネットボズ社のキ-ス・マルコビッツ・セールスマネージャーも同様に、「できれば、専門家だけへのプレゼンテーションを行いたいものだ」とコメントした。
ITの技術を幅広く紹介するPCエキスポは現在、過渡期を迎えている。ウィンドウズOSやインターネット技術など、それぞれのテーマに特化した展示会が催されており、ハードメーカーやソフトメーカーはかつてのような積極的な姿勢を見せていない。PCエキスポのクリスティーナ・コンドース・ディレクターは、「パソコンを主体にした展示会は、既にその役割を終えていることは十分理解している」として、「将来のPCエキスポは、ワイヤレスやセキュリティ、ネットワークマネジメント、アウトソーシングなどがイベントの中心になっていくだろう」と述べている。
今年初め、IT系の展示会で最大の規模を誇っていたコムデックスを運営していたキースリーメディアが倒産した。衰退を続けていたコムデックス同様に、その存続が危惧されるPCエキスポは、今後はセミナーや各種の会合にも力を入れていくことで、具体的なビジネスの場としての地位を向上させて行く考えを示している。
会場内のブースが小さかったマイクロソフトや、出展すらしていないデルなども、カンファレンスではいつものように元気良く、AMDはこのような状況こそが自社の躍進のチャンスとばかりに、同社のヘクター・ルイズCEO自ら基調講演を行う程の力の入れようだ。
■来年も秋に開催
例年、このイベントは6月に開催されていた。しかしこれでは年末商戦までの期間が長いことや、各メーカーの新製品発表の時期とずれているということで、今年から会期を秋に変更した。
来年は既に10月開催が予定され、より一層IT関連業界の事情に配慮した形とし、今年は出展しなかったインテルやゲートウェイなどの大手企業の参加が期待されている。
既に会場内には、来年の開催についての大きな垂れ幕が掲げられ、配付資料にも同様の冊子が同封されるなど、今年の不作には目をつぶり、来年以降へ布石という感もある。不況にあえぐ米国のIT業界を映し出すかのような今年のPCエキスポだったが、まさに過渡期であるが故に、かえって来年以降の開催に期待が持てるのではないだろうか。
9月15日から18日まで、米ニューヨーク市のジャビッツセンターで開催された「PCエキスポ」。今年で21年目となるこのイベントは、パソコン関連の展示会としては長い歴史をもつ。しかし今回は、これまでにないほどにIT業界の苦境を反映したものになった。今年は最盛期の半分程度の集客しか見込めず、出展企業も減少。IT業界は米国の経済状況下でどのような光明を見い出そうとしているのか。そしてかつてのような活況を再び呈すことが可能なのか。米国のIT不況から、いかに脱出するかを模索する老舗ITイベントの様子をニューヨークからお届けする。(ニューヨーク在住)
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