その他
東芝、パソコン事業を再編 生産シフトなどコスト削減へ
2003/10/06 21:12
週刊BCN 2003年10月06日vol.1009掲載
東芝(岡村正社長)がパソコン事業の立て直しに着手した。パソコン販売比率の高い海外で、間接人員約500人を削減するほか、中国、東南アジアへの生産シフト・開発移管など、製販コストの大幅削減を狙う。今年度(2004年3月期)第1四半期決算で連結営業損失400億円超の主因となったパソコン事業だけに、大幅な改革のメスを入れることになる。しかし、今年度上期および通期の業績予想でもパソコン事業の赤字幅は圧縮できない見込みで、事業改革を打ち出すと同時に業績の下方修正を余儀なくされた。10月1日付でスタートした事業改革のスピードが、下期の業績改善を左右することになる。(佐相彰彦●取材/文)
国内営業を東芝情報機器に統合
■ローコスト化で低価格競争に対応
東芝のパソコン事業の収益が急速に悪化したのは、ヒューレット・パッカード(HP)による海外市場を中心とした値下げ攻勢が要因。5月から7月までの米国における価格下落幅は、最大で20%に達しているという。販売維持のためには、それに追随せざるを得ず、これが収益に影響したわけだ。
その改善に向け今回まとめたパソコン事業の立て直し策は、販売比率の高い欧米で、最も影響のあった東芝アメリカ情報システム社の組織改革、欧州の販売体制の再編、東南アジアおよび中国への生産シフト、さらに東芝情報機器への国内販売の統合などだ。
山下文男・PC事業部長は、一連の改革に対して「ローコスト化の追求」が最大のテーマだとし、かたくなに守ってきた青梅事業所(東京都青梅市)での生産台数も月間8万台から同5万台に削減。東芝情報機器フィリピン社を月産18万台から同20万台に、東芝情報機器杭州社も月産7万台から同12万台に拡大する。トータルとして増える生産量は中国市場での販売拡大にも充てる。加えて、米独のカスタマイズ拠点の機能を事実上停止し、中国、フィリピンからの直送にシフトする。
さらに、生産コストを引き下げるため欧米市場向けは、「パソコンのモデル数を絞っていく」とバリエーションの要となるプラットフォーム(基板)数も30%削減し、低価格のパソコン販売に重点を移す。欧米市場の激しい低価格競争で生き残るための苦肉の策だ。
生産部門だけではない。販売では東芝アメリカ情報システム社の組織改革と欧州現法・支店体制再編。収益改善に向け、間接人員を約500人の削減を行っている最中で、これにより販管費の売上高比率を現在の17%から来年度(05年3月期)は12%にまで下げる。
■国内の企業向けビジネスを効率化
海外事業の再編に連動して国内では、PC事業部にいた営業担当者を100人規模で東芝情報機器(TIE)に出向させ、営業機能の統合を図った。全国規模で企業向けパソコン営業はTIEが行うことになる。
9月末までは、東芝が直販、TIEが販売パートナーを通じた間接販売が中心の体制だった。統合により、窓口を一本化し営業活動の効率化を狙う。
東芝は、重電から家電、通信機器、パソコンなど多くの事業領域をカバーする「総合電機メーカー」。山下PC事業部長自身、パソコンのようなサイクルの短い製品を本社に集約することが、「スピード経営にはつながらない」と認めている。TIEへの国内営業統合ひとつとっても、「総合電機メーカーがパソコン専業メーカーにどう対抗していけるか」という点がポイントになったと語る。
5月に価格ダウンの影響が顕著になったにもかかわらず、ようやく10月1日になって生産再編などの改革がスタートした。「PC事業部が迅速な指揮を執っていく」(山下PC事業部長)ための改革だが、スタートまでに費やした時間的ロスは決して少なくない。
単年度でパソコン事業の収益改善するためには、改革の成果をいち早く出して、「下期が勝負」というように上期の損失を取り返さなければならない。改善策をいかに早く軌道に乗せるか、いまスピードが問われている。
東芝(岡村正社長)がパソコン事業の立て直しに着手した。パソコン販売比率の高い海外で、間接人員約500人を削減するほか、中国、東南アジアへの生産シフト・開発移管など、製販コストの大幅削減を狙う。今年度(2004年3月期)第1四半期決算で連結営業損失400億円超の主因となったパソコン事業だけに、大幅な改革のメスを入れることになる。しかし、今年度上期および通期の業績予想でもパソコン事業の赤字幅は圧縮できない見込みで、事業改革を打ち出すと同時に業績の下方修正を余儀なくされた。10月1日付でスタートした事業改革のスピードが、下期の業績改善を左右することになる。(佐相彰彦●取材/文)
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