その他
大塚商会 中国市場に本格進出
2003/11/10 15:00
週刊BCN 2003年11月10日vol.1014掲載
大塚商会(大塚裕司社長)の東アジア戦略が本格的に動き出した。中国で初めての100%出資による販売拠点を上海に開設し、10月末から営業を開始した。1997年から事業を展開している台湾の経営幹部を上海に異動させ、海外展開の軸足を中国へと移した。投資の中心を台湾から中国へシフトすることで、今後、急成長が見込まれる巨大市場で事業拡大を狙う。
東アジア戦略の拠点を台湾から上海へ
3年以内にカタチにしろ――。大塚商会の大塚社長は、10月27日から営業を始めた中国・上海の販売拠点、欧智 貿易(オオツカ貿易)の鶴見裕信社長に檄を飛ばす。
大塚商会は中国に先立ち、97年に台湾に営業拠点を開設した。当時、台湾の大手事務機ディーラー、オーロラグループ(震旦集団)と合弁会社をつくり、日本国内と同様にシステムインテグレータとして事業を展開する計画だった。だが、オーロラグループとの経営方針の違いから、その後、大塚商会単独での営業に切り替え、現在は社員数約60人でCAD販売に特化している。
台湾でのシステムインテグレーション事業を自力で立ち上げることも可能だったが、「市場規模を考え、台湾への投資を中国に振り向ける」(大塚社長)ことを決断した。台湾では、オートデスクのCADソフト「オートキャド」陣営でトップディーラーとなり、年商規模も日本円で約15億円まで拡大した。その手腕を評価され、台湾の販売会社である大塚資訊科技の社長を務める鶴見氏を今回、上海に設立したオオツカ貿易の初代社長に抜擢した。
台湾では、CADディーラーとしては成功を収めたものの、システムインテグレータとしては失敗した。中国では当面の間、CADシステムを中心に販売し、04年度(04年12月期)に日本円で約1億5000万円、05年度は同約2億4000万円の売上高を見込む。だが、大塚商会の最大の強みは、きめ細かなサポートと強い営業力、「スマイルシリーズ」など独自の業務アプリケーションを多数保有している点にある。
これらの強みを生かしたシステムインテグレーション事業を中国で展開できるか。同社にとって、今後の最大の焦点となる。今回、オオツカ貿易を全額出資の子会社としたのも、台湾での苦い経験があってのことだ。
中国市場進出の布石はすでに打ってある。01年に大塚商会など日本企業4社と、中国ソフト開発大手のトップグループ(托普集団)は合弁で、ソフト開発会社の上海華之桜信息系統(上海華之桜情報システム、王家誌社長)を設立した。同合弁はソフト開発を行うとともに、傘下に1年制の技術者養成専門学校「華之桜情報技術学校」を開設。今年9月には、その第1期生約100人が卒業し、このうち約90人が上海華之桜情報システムに入社した。
彼らは、トップグループが運営する3年制のIT系専門学校を卒業し、その後、華之桜情報技術学校に進学したソフト開発技術者で、この1年間で基礎的な日本語を習得している。華之桜情報システムでは、来年以降も毎年100人規模の卒業生を採用し、日本からの大規模ソフト開発の受託にも耐えうる体制づくりを急ぐ。
大塚社長は、「プログラマが、そのままシステムインテグレーションの現場で活躍できるとは考えていない。だが、中国でソフト開発を伴うシステム構築をするとなれば、彼らの力を存分に発揮できる」と話す。
また、日中のソフト開発コストの差が縮まる傾向にあるなか、「いつまでも日本からの発注に頼るソフトの受託開発を続けていくわけにはいかない」(現地関係者)と、いずれは中国国内のシステム構築案件の獲得が必要になると話す。
中国市場への進出は、01年に大塚社長が大塚商会のトップに就任して以来、最大の海外ビジネスとなる。この成否は、大塚商会の将来に大きな影響を与えるだけに、大塚社長の経営手腕に注目が集まる。
大塚商会(大塚裕司社長)の東アジア戦略が本格的に動き出した。中国で初めての100%出資による販売拠点を上海に開設し、10月末から営業を開始した。1997年から事業を展開している台湾の経営幹部を上海に異動させ、海外展開の軸足を中国へと移した。投資の中心を台湾から中国へシフトすることで、今後、急成長が見込まれる巨大市場で事業拡大を狙う。
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