その他
市町村合併
2003/12/08 15:00
週刊BCN 2003年12月08日vol.1018掲載
「合併特例法」で定められた、市町村合併期限が2005年3月末まであと1年3か月ほどに迫ってきた。まだ1年以上ある、とも言えるが、合併協議会の電算部会やITベンダーは「1年ちょっとしかない」と非常な危機感を抱いてる。合併する市町村の住民記録をはじめとして、さまざまな情報システムの内容を洗い出しシステム統合するために、1年3か月では短すぎるというのが一般的な考え方。ある大手ベンダー地方支店の公共担当者は、「これまではAパターン、、、
確実なシステム統合に方向転換
「合併特例法」で定められた、市町村合併期限が2005年3月末まであと1年3か月ほどに迫ってきた。まだ1年以上ある、とも言えるが、合併協議会の電算部会やITベンダーは「1年ちょっとしかない」と非常な危機感を抱いてる。合併する市町村の住民記録をはじめとして、さまざまな情報システムの内容を洗い出しシステム統合するために、1年3か月では短すぎるというのが一般的な考え方。ある大手ベンダー地方支店の公共担当者は、「これまではAパターン、Bパターンといった自治体の財政状況やIT化のニーズに合わせたモデルを提案してきたが、今はそんなこと言ってる場合ではない。安全・確実に情報システムを統合しましょう、と提案している」と、営業方針の大転換も図っている。贅沢なシステムを提案しても到底間に合わない、基本的な作業だけで1年近くかかってしまうから、というわけだ。
それでも、市町村合併で確実にユーザー数が減少する。ここで自治体ビジネスを引っ込めてしまっては収入がダウンする。そのために合併協議会と一緒に、何とかシステム統合の道筋をつけていこうとする。もちろん初期の段階では、予算の裏付けもない。合併予定の自治体が抜けたり、合併後の自治体の名称が気に入らないといって合併を止めたり――となればベンダーにとって、全てが蕫持ち出し﨟になる可能性もある。「合併協議会が解散する可能性はゼロではない。その場合、どこが最終的に費用負担するかという覚書を交わしている」(大手ベンダー自治体担当)というところならば救われる。そうでなければ、合併が破綻した場合に全てが損失になる。
鹿児島県市町村会に取材した。北海道、京都府、熊本県、そして鹿児島県の4か所だけが、町村会で自治体システムのインテグレーションを手がけているという。かつて、委託計算の全盛期からコンピュータの自己導入に時代が変わった時、ノウハウのない町村を助けて情報システム構築を進めてきた。北海道町村会が開発した「TAWN」や、京都府町村会が開発した「TRY―X」といった町村向けの総合行政システムを、鹿児島県町村会や熊本県町村会は、システム提供してきた。
町村会は各町村の拠出金で運営されており、情報システムユーザーは年間定まった額のシステム運営・保守料金を支払っている。担当者によれば、「町村会という立場上、システム料金を集めても赤字」だとしている。町村の情報化を支援するのが目的だけに、ボランティアとは言わないまでも、町村会が大きな利益を叩き出すわけにもいかない。顧客である町村は合併が進めば、新市となる場合が多い。大手ベンダーはシェア確保のために統合システムの受注を狙っており、地元のシステムインテグレータも合併や電子自治体構築に向けた統合システムを開発して売り込みに必死だ。
町村会として情報開発や電子自治体化をただ見過ごしているわけではないが、地元企業や大手ベンダーからみれば、「競合です」と言いながらも、価格やサポートの面で町村会を凌駕する内容で提案できると自信を持っている。次の国会には、合併特例法の改正案が提出される見込みだ。合併特例法で定めた05年3月末までの合併から、期限切れまでに合併市町村で合併の議決ができれば、実際の合併は同年4月以降も可能とする特例法の対象になることになりそうだ。合併を機に、町村会のシステム事業も変化を余儀なくされるだろう。 川井直樹●取材/文
「合併特例法」で定められた、市町村合併期限が2005年3月末まであと1年3か月ほどに迫ってきた。まだ1年以上ある、とも言えるが、合併協議会の電算部会やITベンダーは「1年ちょっとしかない」と非常な危機感を抱いてる。合併する市町村の住民記録をはじめとして、さまざまな情報システムの内容を洗い出しシステム統合するために、1年3か月では短すぎるというのが一般的な考え方。ある大手ベンダー地方支店の公共担当者は、「これまではAパターン、、、
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