その他
変革を目指すディストリビュータ 04年は新ビジネスモデル構築が急務
2004/01/05 15:00
週刊BCN 2004年01月05日vol.1021掲載
ディストリビュータ各社がシステムインテグレーション事業を視野に入れ、変革を遂げようとしている。2003年は、ハードウェア、ソフトウェアともに価格の下落が激しかった。そのため、単に商品を仕入れて卸すだけのビジネスでは利益を確保できないというのが各社の現状だ。04年は、景気に明るい兆しが出てきたというものの、低価格化や企業のIT投資動向など、予断を許さない状況にあることに変わりはない。本業のディストリビューション事業を生かしたシステムインテグレーション事業という新しいビジネスモデルの構築が、ディストリビュータ各社にとって唯一の生き残り戦術と言えそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
システムインテグレーション事業がカギに
■価格下落が引き金に
03年は、パソコンやサーバーなどハードウェアの価格下落が激しかった。そのため、価格に左右されるディストリビューション事業は極めて厳しい状況に陥った。
ダイワボウ情報システム(DiS)は、03年度(04年3月期)中間連結決算で売上高が前年同期比0.5%増の1594億2500万円とわずかに増えたものの、営業利益は同32.8%減の7億5700万円と大幅に落ち込んだ。「地方自治体の入札で価格下落が激しいため、当社の地方支店が苦戦した」(松本紘和社長)ことが原因。価格競争によりビジネスにならなかったケースもあったことが減益につながったと、苦しい台所事情を吐露する。
焦眉の急は、価格下落にも対応できる体制の構築だ。ダイワボウ情報システムでは、まず物流コストの削減とともにシステムインテグレーションを手がける子会社で、赤字のディーアイエスシステム販売の体制を、「04年度(05年3月期)に利益を生み出す会社として再構築する」ことを計画する。
キヤノン販売では、02年10月に住友金属システムソリューションズを買収し傘下に収めたほか、ソフト開発のキヤノンソフトウェアを子会社化。村瀬治男社長は、「キヤノン販売グループとして、システムインテグレーション事業を強化する」と、狙いは明確だ。04年度(04年12月期)早々に、グループ挙げてのシステムインテグレーション事業を本格化させる考えだ。
■単なる“モノ売り”からの脱皮
ソフトウェアでも、店頭でのソフトコーナーの縮小や、企業のIT投資額の減少などにより、新しいビジネスモデルの構築を迫られている。
コンピュータウェーブは、03年度(03年9月期)決算で売上高が前年度比10.6%減の487億5200万円。これにともない、営業損益が前年度の5億600万円の黒字から6億900万円の赤字に転落した。辻本和孝社長は、「03年度は踊り場を迎えた。売上高が伸びなくても利益が確保できる体制づくりを行わなければならない」として、物流費や人件費、販管費などのコスト削減や、ライセンスやダウンロード販売の強化を進める。
また、「ミドルウェアの販売などシステムインテグレーションビジネス展開も必要。当社は、そのリソースをもっていないため、まずはソフト開発会社とアライアンスを組む」と、営業をコンピュータウェーブが行い、ソフト開発をパートナー企業が手がけるビジネスモデルに活路を見出す。
ソフトバンクBBでは、流通事業は黒字だったものの、ブロードバンド・インフラ事業の赤字が続く。流通事業を手がけるソフトバンク・コマース、ブロードバンドインフラの構築・サポートを行うビー・ビー・テクノロジー、光ファイバー事業を手がけるソフトバンクネットワークス、電子商取引(EC)事業の統括会社であるソフトバンク・イーシーホールディングスの4社が合併したのは03年1月。
「04年は統合効果を出す」(宮内謙副社長)と、流通事業とBB事業を生かし、いつでもソフトが活用できる「BBユーティリティコンピューティング」を打ち出す。「これによって、システムインテグレーションの展開も可能になる」ことを強調している。
これまでディストリビューションに集中してきたため、はっきり言えば各社ともシステムインテグレーションのノウハウに乏しい。システムインテグレーションで利益を確保するためには、あらゆる手段を講じて、ノウハウの吸収から始めなければならないだろう。
ディストリビュータ各社がシステムインテグレーション事業を視野に入れ、変革を遂げようとしている。2003年は、ハードウェア、ソフトウェアともに価格の下落が激しかった。そのため、単に商品を仕入れて卸すだけのビジネスでは利益を確保できないというのが各社の現状だ。04年は、景気に明るい兆しが出てきたというものの、低価格化や企業のIT投資動向など、予断を許さない状況にあることに変わりはない。本業のディストリビューション事業を生かしたシステムインテグレーション事業という新しいビジネスモデルの構築が、ディストリビュータ各社にとって唯一の生き残り戦術と言えそうだ。(佐相彰彦●取材/文)
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