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<BCN REPORT>米NYでリナックスワールド開催 SCOの訴訟問題が話題に
2004/02/09 15:00
週刊BCN 2004年02月09日vol.1026掲載
1月20日から23日まで、新春恒例の「リナックスワールドカンファレンス&エキスポ」がニューヨークで開催された。市場での地位を築き始めたLinuxに関わる企業106社が出展し、ビジネス色の強いこのエキスポに多数の来場者がつめかけた。また、会期直前に沸き起こったSCOによるLinux陣営各社に対する訴訟問題は、エキスポのみならず、Linuxそのものの成り立ちさえ揺るがしかねないほどの衝撃となった。(ニューヨーク発)(田中秀憲(ジャーナリスト)●取材/文)
ビジネス市場拡大を印象づけたイベント
■市場での地位固める
年頭の恒例行事となった感のあるリナックスワールドが、1月20日からニューヨーク市内のコンベンションセンター「ジャビッツセンター」で開催された。昨年8月にサンフランシスコで行われた際には1万人以上を動員したが、今回はそれ以上の賑わいとなることが確実視されていた。近年は技術志向の展示会というよりもビジネスの場としての意味合いが強くなったこのイベントは、毎年使用するスペースが広くなり、ようやく市場で認知され、確固たる地位を築いている。
しかし今年一番の話題と言えば、なんと言ってもSCOによる訴訟問題に尽きる。SCOは1月14日に、同社が主張するプログラムライセンスの訴訟範囲が全世界に及ぶとの見解を発表。さらに会期直前には新たにノベルを訴え、事態は泥沼化の様相を呈してきた。会場内もこの話題でもちきりであり、至るところでこの一件に関するやりとりが見られた。
Linux市場が取るに足らないのものなら、裁判など起こるはずもない。このような出来事は、Linuxが市場での地位を固めつつあることの証明だろう。会期中にはヒューレット・パッカード(HP)がLinuxサーバーの売り上げで7500万ドルを達成したと発表するなど、各社とも売り上げは順調に伸びている。
■大手IT企業がひっぱる
この傾向は会場の様子からも伺うことができた。会場に一歩踏み入れて目につくのは、IBM、サン・マイクロシステムズ、マイクロソフトやHPなどの大手IT企業の看板だ。さらにコンピュータ・アソシエイツ(CA)、オラクル、ノベル、チップメーカーのAMDなども参加しており、一見しただけでは何のイベントか分からないほどである。
出店企業は見栄の良い展示方法や揃いのユニフォーム、そして気配りの行き届いた接客と、新進のベンチャーでは真似のできない出展を行った。また、レッドハットやBEAシステムズなどのLinux界の有力企業が積極的な営業活動を行っていた。
今回の特徴は、大手IT企業が展示会を主導したことで、これまでは珍しかったスーツ姿のビジネスマンが多く見られたほか、SCO訴訟の影響からか、法律事務所や弁護士の売り込みも盛んに行われていた点だ。
■関連製品の多様化進む
これまでLinuxを支えてきた新進気鋭のLinuxベンダーは、今後どの様な方向に活路を見出そうとしているのだろうか。彼らの多くは、ビジネスの現場で使われるようになってきたことにより浮き彫りになってきた、各種の要望に応えるような分野に進出し始めている。
システム管理やモニタリングのツール類は多くのブースで見られた。例えば、コード・ウィーバースは、Linux上でマイクロソフトのオフィスを始めとする多くのビジネスアプリケーションが動作するシステムをデモンストレーションしていた。
また、セントラルコマンドは対ウイルスユーティリティをパッケージ製品として販売し、一般ユーザーでも容易にLinuxを導入できるように工夫を凝らしている。
これら周辺の環境整備が整いつつあることにより、今後はサーバー市場のみならず、デスクトップ市場への進出も加速されていくことだろう。一方、技術開発が進むとともに、機器間の整合性の問題は影を潜め、ハードウェアを扱うブースは激減したような印象だった。
Linuxがますます一般化しつつあることは、他にも見て取れる。例えば、レッドハットは新しいシステム管理ツールを発表したが、この製品はサン・マイクロシステムズやHPの主要製品群と真っ向から競合することになるし、同社はSCO訴訟から自社のユーザーを保護するためのプログラムも発表した。ノベルも同様の補償を開始し、インテルも自社のワイヤレス技術「セントリーノ」のLinux対応を検討していることを明らかにするなど、各社とも、一般的な顧客にその門戸を広げるための努力を続けている。
IT大手の注力ぶりは、エキスポの重要な柱でもある基調講演にも表れている。ノベルのジャック・メスマンCEOをはじめ、オラクル、アマゾン、IBMといった大手の重鎮が名を連ね、Linuxがビジネスでの地位を固めたことを如実に表している。その一方、Linux陣営と敵対を続けるSCOは一切の出展を見合わせた。
1月20日から23日まで、新春恒例の「リナックスワールドカンファレンス&エキスポ」がニューヨークで開催された。市場での地位を築き始めたLinuxに関わる企業106社が出展し、ビジネス色の強いこのエキスポに多数の来場者がつめかけた。また、会期直前に沸き起こったSCOによるLinux陣営各社に対する訴訟問題は、エキスポのみならず、Linuxそのものの成り立ちさえ揺るがしかねないほどの衝撃となった。(ニューヨーク発)(田中秀憲(ジャーナリスト)●取材/文)
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