その他
動き始めた「電子行政サービス」 関連機器で店頭にも大きな需要
2004/02/09 21:12
週刊BCN 2004年02月09日vol.1026掲載
「e-Japan戦略」の重点施策の1つとして、住民票の写しやパスポートの申請、納税申告を家庭のパソコンから行える電子行政サービスが始まった。一方で、こうしたネット申告普及のカギを握るのは、一般消費者と接する販売店だ。必要な機器の導入や操作方法についての理解が進まなければ、ユーザーレベルには広がらない。ビックカメラ(新井隆司社長)は、電子行政サービスをビジネスチャンスと捉え、本格的な取り組みを開始する。1月26日からは有楽町店(東京都千代田区)で「公的個人認証サービス」の大型展示・体験コーナーを開設した。(田中繁廣●取材/文)
ビックカメラ、有楽町店に大型展示・体験コーナー
■ビジネスチャンスに先駆ける
ネット申告の先陣を切ったのは、2月2日から中部地区4県(愛知、岐阜、三重、静岡)でスタートした所得税や消費税の電子納税申告。名古屋国税局によれば、あらかじめ電子申告の開始届出書を提出したのは個人が4656人、法人が312件の合計4968件。
納税者数からすればごく一部だが、6月には全国の税務署で同様のサービスが始まる。さらに今年後半からは、自宅からネット経由で住民票や戸籍謄本、パスポートの申請も可能になる。
しかし、インフラが整っても、一般企業や個人が必要なハードなどを導入しなければ、実際の利用は進まない。
ビックカメラでは、「近い将来、日本国民のほとんどが電子行政サービスを活用するようになる。パソコンをはじめ、サービス活用のための周辺機器需要を考慮すると、想像をはるかに超えるビジネスチャンスになる」(堀越雄・企画部長)として、店頭での電子行政サービスの啓蒙活動や販売に本格的に取り組む。
有楽町店の「公的個人認証サービス」展示・体験コーナーでは、5階パソコンフロアのエスカレータ正面奥に、42インチの大型液晶ディスプレイ4面とパソコン3セットを設置。自宅のパソコンからネットを通して、住民票の発行申請を行う手順や操作を疑似体験できる。
「普段は売れ筋商品などの集客デモ用に使う1等地」(小原稔・有楽町店店長代理)を割り当てるという力の入れようだ。
「電子申請と言うと難しそうだが、実際に体験してみれば意外に簡単。お客さまにとっても非常にメリットのあるサービスだけに、大きなブースでたくさんの人たちに、新しい電子行政サービスを紹介していきたい」(堀越部長)という。
実際の電子申請サービスは、まず、住民基本台帳ネットワークの情報をもとに、役所で本人認証(公的個人認証)用のICカードを作成する必要がある。カードの本人認証情報を自宅のパソコンに接続したICカード/リーダーで読み取り、役所のホームページにアクセスすれば、比較的簡単に住民票の写しなどの発行申請を行うことができる。
同コーナーのパソコンでは、「東京都東西市」という架空の自治体ホームページと、体験用ICカードを使うことで、ほぼ実際の手順と同様の体験ができる。
併せて有楽町店のほか、名古屋駅西店など全国22店舗で電子申請の接続試験済みICカードリーダー/ライタの販売を開始した。
■カードリーダー半年で10万台
これまでe-Japan関連のプロジェクトといえば、行政レベルのインフラ整備が中心で、一般の消費者に対する浸透は必ずしも高くなかった。店側でも、当初どの程度の反響があるかを読み切れないままのコーナー開設だったが、「思った以上に関心が高くて、正直驚いている」と顔をほころばせる。2人の説明担当者が対応しているが、パソコンに詳しいユーザーばかりでなく、女性や家電を買いに来た一般の来店客から説明を求められることが多いという。
「ICカードリーダー/ライタ」の販売も予想以上に好調。展示コーナー開設から2月1日までの1週間に、全店で約300台を販売。さらに、「サービスが本格化する向こう半年間では、全店で約10万台の販売が見込める」と力を込める。
もっとも、電子申請の具体的なサービス開始時期は、各自治体に委ねられているため、全国に広がるのは今年半ば以降となる見通しだ。また、スタート当初は、申請した証明書を役所の窓口で受け取るなど、完全な電子申請・申告には程遠い。
しかし、こうした電子行政サービスの波及効果が量販店の店頭まで広がるようになれば、電子政府・自治体は構想段階から実現へと大きく一歩を踏み出すといえるだろう。
「e-Japan戦略」の重点施策の1つとして、住民票の写しやパスポートの申請、納税申告を家庭のパソコンから行える電子行政サービスが始まった。一方で、こうしたネット申告普及のカギを握るのは、一般消費者と接する販売店だ。必要な機器の導入や操作方法についての理解が進まなければ、ユーザーレベルには広がらない。ビックカメラ(新井隆司社長)は、電子行政サービスをビジネスチャンスと捉え、本格的な取り組みを開始する。1月26日からは有楽町店(東京都千代田区)で「公的個人認証サービス」の大型展示・体験コーナーを開設した。(田中繁廣●取材/文)
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