その他
経済産業省 SLAガイドライン策定
2004/02/09 21:12
週刊BCN 2004年02月09日vol.1026掲載
経済産業省は3月末をめどに、「情報システムに係る政府調達へのSLA導入ガイドライン」(仮称、SLA=サービス・レベル・アグリーメント)をまとめる。これまで曖昧だった運用サービスの内容や質に対する評価基準を標準化することで、運用サービスビジネスの競争促進につなげる狙い。このガイドラインは政府調達での適用を想定しているものの、地方自治体や民間企業におけるSLAガイドラインの策定にも大きな影響を与える。
運用サービスの競争促進へ
SLAガイドラインは、昨年4月に設置された「情報システムの政府調達に係るSLA研究会」で、経産省が中心となって検討を進めてきた。SLA導入のプロセスを中心に詳細を規定し、サービスレベルを維持・改善する手法を示している。SLAとは、発注者とサービスベンダーが、共通の評価基準をもとに運用サービスを評価・改善する合意文書を指す。
これまで情報システムの政府調達では、入・落札段階までの評価が重視され、その後の運用サービスは評価基準が明確でないまま、随意契約で発注される傾向があった。これでは、安値入札をして、運用サービスで収益を確保する構図も成り立つ。
今回のガイドラインでは、たとえばサーバーの可用性や標準応答時間達成率、帳票デリバリー時間遵守率などの基準を明確にするよう求めており、サービスベンダーは、運用サービスの品質を常に評価され続けることになる。サービスレベルが満たされない場合は、ペナルティも検討されており、最悪の場合、運用契約の打ち切りもあり得る。
サービスベンダーの間には、ペナルティのリスクが高まることを懸念する声がある一方、「ビジネスチャンス」が広がるという前向きな意見も出ている。運用サービスをSLAガイドラインで詳細に規定し、標準化・明文化されることで、情報システムの“運用サービスビジネス”に、システムを納入したベンダー以外でも新たに参入しやすくなると考えられるからだ。
システムインテグレータにとって、ハードウェア販売やソフトウェア開発の収益性が悪化しているなか、収益性の見込める運用サービス市場の開拓は、重要な課題となっている。中堅インテグレータ幹部は、「開発は中国など海外に流れているが、運用の部分は当面は国内に残る。情報システムを納入した大手ベンダーが引き続き運用サービスも受注する流れが変わり、SLAを満たせる実力あるサービスベンダーが伸びる競争環境が整う」と期待する。
経産省では、「このガイドラインは、大手ベンダーを排除する意図はない」としながらも、「これまで客観的に評価しにくく不透明だったサービス内容を、このガイドラインにより透明にすることで、大手だけが必ずしも有利でない競争的な市場環境をつくる」としている。
SLAガイドラインに詳しいフューリッジ・コンサルティングの平本健二社長は、「サービスを購入するという考え方を根付かせるためのガイドラインだと言える」と高く評価したうえで、「サービス内容の共通基準を整備することで、企業間の競争がサービス内容を根拠とするものへと移行しやすくなる」と分析する。
今回のガイドラインは政府調達を想定しているものの、SLA導入の基本的要素は押さえており、地方自治体や民間企業などへの応用も考えられる。運用サービスの共通評価基盤が整備されることで、運用サービスのビジネス環境に競争原理が働き、新たな市場が飛躍的に拡大する可能性が高まる。
経済産業省は3月末をめどに、「情報システムに係る政府調達へのSLA導入ガイドライン」(仮称、SLA=サービス・レベル・アグリーメント)をまとめる。これまで曖昧だった運用サービスの内容や質に対する評価基準を標準化することで、運用サービスビジネスの競争促進につなげる狙い。このガイドラインは政府調達での適用を想定しているものの、地方自治体や民間企業におけるSLAガイドラインの策定にも大きな影響を与える。
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