その他
ミロク情報サービス ユニシンクを傘下に 店頭ソフト市場に参入
2004/03/01 21:12
週刊BCN 2004年03月01日vol.1029掲載
中小企業や個人事業主向けの会計ソフトウェア市場が騒がしくなってきた。会計専用機メーカーのミロク情報サービス(MJS)が、業務ソフト中堅のユニシンクの営業権を取得し、店頭のソフト販売市場に参入したためだ。両社のノウハウや販売チャネル実績の相乗効果により、「業界トップを狙う」と意気込む。店頭会計ソフト市場で業界トップの弥生など、迎え撃つ各社は今回の新局面に対し、一様に冷静。だが、会計業務のノウハウを知り尽くす会計専用機メーカーの新規参入は、同市場のシェア争いに波乱をもたらしそうだ。
迎え撃つ弥生、JDL
ミロク情報サービスは2月10日、店頭販売シェア中位で、業務ソフトウェア「かんたんシリーズ」を出すユニシンクの営業権を1億6000万円で取得。4月1日には、ミロク情報サービスの100%子会社「ミロク・ユニソフト」が誕生する。ユニシンクの三木正志社長が同子会社の社長に就任。ユニシンクは登記上は残るが、「事実上、休眠状態に入る」(三木社長)という。
ミロク情報サービスの是枝伸彦・会長兼社長は、「当社の会計事務所ユーザーの顧問先企業に弥生の会計シリーズが多く入り、事務所側から、データ連携の複雑さで困惑の声が多くなっていた」と、店頭販売による他社製業務ソフトの浸透が無視できない状況にあると説明する。
会計専用機最大手の日本デジタル研究所(JDL)が2002年6月、「弥生の会計シリーズの台頭に危機感をもった」(森崎利直・取締役マーケティング本部長兼広報担当部長)として、会計ソフト「出納帳」など、会計・財務・給与などの業務ソフトを店頭で販売開始したのも、ミロク情報サービスと同様、「弥生への対抗」が主な理由だ。JDLは、豊富な資金力を背景に、「弥生のパッケージソフトを研究し尽くし、それ以上の製品に仕上げた」(同)と、店頭市場で弥生を脅かす位置につけた。
ミロク情報サービスが今回、店頭市場に出たのは、弥生および同業ライバルであるJDLの台頭が引き金になった。「当社単独では、ソフト開発の時間と資金が不足。店頭市場も販売チャネルに実績がない」(是枝会長兼社長)と、ユニシンクの販売ノウハウと、すでに市場でシェアを持つ「かんたんシリーズ」の認知度の力を借りた形だ。
ユニシンクも、「店頭市場で当社ソフトはどうしてもブレークしない」(三木社長)と、頭を悩ませていた。そんな折の昨年8月、「ミロク情報サービスから話があり、会計事務所チャネルの開拓に利がある」(三木社長)と判断。営業権譲渡の要請に応じたという。
会計専用機は、JDLが約1万、TKCが約8800、ミロク情報サービスが約8600の会計事務所に導入している(いずれも各社公表値)。全国の会計事務所約4万のうち、この3社で約7割を押さえる寡占状態にある。だが、90年代後半から「(会計専用機は)税法改正や機能アップに手間がかかる」(業務ソフト会社関係者)と、パソコンソフトのオープン化や低価格化の波に乗り、弥生の「会計シリーズ」など、簡単に扱える業務ソフトが会計事務所やその顧問先企業へ急速に浸透した。会計・経理業務をITで効率化する「自計化」は、会計専用機だけでなく、業務ソフトも担うという選択肢をもたらした。
一方、「会計シリーズ」をすでに100万本以上出荷し、他社を迎え撃つ弥生は、「製品の良し悪しはユーザー数が実証している。購入して使い込むほどに良さを実感できる当社のソフトは、会計専用機メーカーと開発コンセプトや質が違う」(相馬一徳・執行役員営業本部担当)と、今回の動きを冷静に見守る。JDLも、「ユニシンクのソフトと当社のソフトは、レベルの差が歴然」(森崎取締役)と、ミロク情報サービスの新展開を脅威と受けとめていない様子だ。
ソフトの質に関する指摘には、ユニシンクの三木社長も「確かに、わずかに劣っていた。だが、ミロク情報サービスの会計事務所で培ったノウハウと豊富な資金力を得て、これに当社のソフト開発ノウハウを合わせれば、競合各社を超えるソフトを作り出せる」と、自信をみせる。
ミロク・ユニソフトは4月以降、早い段階でミロクの会計システムにソフト側からアクセスできる「新かんたん経理」(仮称)を出す予定。年内には、「相互連携できる完全版を出す」(三木社長)計画だ。
中小企業・個人事業主向け会計ソフト市場は今年、消費税改正や電子申告の導入により、市場のパイが拡大しそうだ。会計ソフトの店頭市場では、会計事務所の支援策が充実しているソリマチやOA機器を中核にした会計システムを提案するエプソン販売なども、虎視眈々と市場切り崩しを狙う。ミロク情報サービスの店頭市場参入で、競争がさらに激化するのは必至だ。
中小企業や個人事業主向けの会計ソフトウェア市場が騒がしくなってきた。会計専用機メーカーのミロク情報サービス(MJS)が、業務ソフト中堅のユニシンクの営業権を取得し、店頭のソフト販売市場に参入したためだ。両社のノウハウや販売チャネル実績の相乗効果により、「業界トップを狙う」と意気込む。店頭会計ソフト市場で業界トップの弥生など、迎え撃つ各社は今回の新局面に対し、一様に冷静。だが、会計業務のノウハウを知り尽くす会計専用機メーカーの新規参入は、同市場のシェア争いに波乱をもたらしそうだ。
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