その他
ヤフーBBの事件は対岸の火事? 顧客情報流出に厳しい社会の目
2004/03/08 15:00
週刊BCN 2004年03月08日vol.1030掲載
ヤフーBBの会員情報451万7039人分が流出した事件は、一般紙やテレビでも大きく取り上げられる社会問題となった。流出した会員数が過去最大となったことが騒ぎの要因の1つではあるが、顧客情報流出という問題は、ソフトバンクという1企業の問題にとどまらず、顧客情報をもつ企業や自治体が同様の危機に直面する可能性を示唆した問題ではないだろうか。(三浦優子●取材/文)
データ漏洩対策が急務の時代に
■深夜におよぶ異例の会見
2月24日の夜10時。IT業界では異例の時間から、ヤフーBBの会員情報流出問題に関する2回目の記者会見がスタートした。
同日、夕方4時30分から開かれた1回目の会見では、同社の田部康喜・広報室長が説明に臨んだが、マスコミ側はそれに満足しなかった。そのため、急遽夜10時から追加会見を開き、その場には宮内謙取締役副社長、鬼頭周システム&サプライチェーン本部長が同席し、より詳しい説明を行うこととなったのである。
当初は、穏和な表情だった宮内副社長の表情が厳しくなっていったのは、2時間に及んだ会見の後半からだった。当初は恐喝事件について、「警察の捜査中」と言葉を選びながら話していた宮内社長に対し、報道陣から厳しい質問が飛んだ。
「顧客データが流出した問題と、そのデータを元に恐喝があったという事件とは2つに分けて考えるべきではないか。顧客データが流出した責任をどう考えているのか」、「会見の場に孫(正義)社長が不在なのはどうしてなのか」。
この結果、宮内社長の口から、「後日、孫が出席し、改めて会見を開催させて頂く」との発言が飛び出し、その言葉通り、2日後の2月26日、孫社長が出席して記者会見が開かれた。その席上で、孫社長自身が24日の会見での不在を詫び、「大変なご迷惑をおかけした」と謝罪した。
■企業すべてに起こりうる事件
この一連の会見で印象的なのは、顧客情報の流出に対してマスコミの追求が厳しかったことだ。
来年4月1日から個人情報保護法が施行され、個人情報を扱う事業者の責任は重くなる。現在は保護法の施行前ではあるものの、個人情報に対し、日本中がナーバスになっている。データのデジタル化が進み、インターネットが発達したことで、従来に比べ大幅にデータ流出の危険度が増し、2次利用、3次利用も簡単にできることを、マスコミをはじめ多くの人が認識したからであろう。
それだけに、顧客情報を扱う企業は、かなり慎重にデータを扱うことが求められている。ソフトバンクのケースは、決して対岸の火事ではない。データを保有する企業すべてに起こり得る可能性がある事件といえるのではないか。
2月23日には、オービックビジネスコンサルタント(OBC)の顧客情報データが入ったフロッピーディスクを乗せた車が車上荒らしに遭うという事件があった。幸い、2月26日夕方に無事発見され、フロッピーディスクのアクセス状況を解析したところ、アクセスされた形跡はなく、顧客データが流出する事態には至らなかった。だが、こうした盗難事件さえ想定し、データ漏洩に備えなければならない時代になってきた。
今回、ヤフーBBの事件では451万という流出したデータの大きさに注目が集まったが、おそらく1件の流出であっても、それを元にした犯罪が起こるようなことがあれば、データを流出させた企業や団体は厳しい批判を浴びるだろう。データを保有することの責任の重さを改めて考え直さなければならない。
ヤフーBBの会員情報451万7039人分が流出した事件は、一般紙やテレビでも大きく取り上げられる社会問題となった。流出した会員数が過去最大となったことが騒ぎの要因の1つではあるが、顧客情報流出という問題は、ソフトバンクという1企業の問題にとどまらず、顧客情報をもつ企業や自治体が同様の危機に直面する可能性を示唆した問題ではないだろうか。(三浦優子●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…