その他
中小企業ERP市場 SAPが来た!
2004/03/15 21:12
週刊BCN 2004年03月15日vol.1031掲載
国内ERP(統合基幹業務システム)市場をSAP製品で塗りつぶす──。大企業のERP市場を主戦場としてきたSAPジャパン(藤井清孝社長)が、チャネル販売を主体にSMB(中堅・中小企業ビジネス)市場の開拓に照準を定めた。今夏には、中小企業向けERP製品の出荷を計画しており、大企業から中小企業まですべてをSAP製品で染めるつもりだ。これまで「中堅・中小企業は、他社のERPに任せていた」(関谷泰朗副社長)が、今後は国産ERPベンダーや、「新ERP」陣営の業務ソフトベンダーの〝牙城〟を攻める。SAPのERP製品を扱ってきた中堅システムインテグレータもこの動きに呼応して、中堅・中小市場戦略の見直しを始めている。
今夏、新製品出荷へ SAPジャパンは昨年2月、大企業向け主力ERP製品「SAP/R3」をベースに、機能を中堅・中小企業向けに設計変更。標準的な導入プロセスや機能を集約して導入期間を短縮するERP製品「mySAP All-in-one(通称・エーワン)」の出荷を開始した。昨年末までには、同社のパートナーが構築したエーワン用の業種別テンプレート(ひな形)11業種62種類を揃えている。 すでに、国内20数社にエーワンを導入するなど「中堅ERPの商談は倍に増え、当社の事業が完全にボリュームゾーンに入った」(関谷副社長)としており、大企業主体から、中堅・中小企業を中心に受注を数で稼ぐ戦略にシフトし始めたことを強調する。 エーワンが狙う市場は、年商200-1000億円の中堅企業だが、この市場には昨年6月、日本オラクルが中堅企業向けERP製品「Oracle Neo(オラクル・ネオ)」で参入。この市場で優位に立っていた国産ERPベンダーに加え、「新ERP」と呼ばれる業務パッケージを出す新興ベンダーなども混じり、外国勢、国産ERP勢、業務ソフト勢が三つ巴で熾烈な争いを演じることになった。 日本オラクルは、「主戦場は年商1000億円に近い中堅企業。200億円規模の企業は、当社のシステムインテグレーションパートナーである国産ERPベンダーと競合しないよう、上手く棲み分けしている」(三澤智光・執行役員パートナービジネス本部長)とし、オラクル・ネオの競合相手は「SAPジャパンのみ」(同)に絞り込んでいる。一方のSAPジャパンは、「エーワンは、年商200億円以下の領域でも導入できる」(関谷副社長)と、国産ERPベンダーと競合する領域まで浸透を図ろうとしている。 しかも、SAPジャパンは、今年6月に開催予定のプライベートフェアで、親会社の独SAPが欧米で出荷している中小企業向けERP製品「SAP Business One(通称・ビーワン)」の日本語版の概要を発表する計画だ。SAP/R3との親和性が高く、R3を導入する大企業の子会社や取引先の部品メーカーなど中小企業を狙い、今夏から出荷が始まる見通し。 関谷副社長は、「これまで当社には中小企業市場向けERP製品がなく、業務ソフトベンダーの『新ERP』とは協調関係を保ってきた。しかし、今後は競合になる」と、川上から川下までを連係するERP製品群を携え、ERP市場を席巻する戦略が着々と練られている。 ERPベンダーがこぞって同市場に参入するのは、2000年から始まった税効果会計や連結決算の範囲拡大などの「会計ビックバン」を受け、中堅企業が新会計基準への適応を迫られているからだ。また、2000年(Y2K)問題に対応するため国内で約4万台導入されたとみられるオフコンが、今年にかけてリプレース期を迎え、オープン化する需要が期待できる。 この市場に向け、最近、各ERPベンダーが簡単に導入できる低価格のERP製品を出し始めたため、「中堅・中小企業がERP製品を導入したいというマインドが高まった」(大手オフコンディーラー担当者)との声が少なくない。 SAPジャパンは、ビーワンの拡販に向け「オフコンディーラーなど、従来とは違う分野のまったく新しいパートナー」(関谷副社長)の開拓を急ピッチで進めている。日本の商習慣を前提に設計した日本特有のERP製品により、中堅・中小市場の“牙城”はこれまで国産ERPベンダーや業務ソフトベンダーが守ってきた。だが、今年後半からは、本家ERPベンダーがこの“牙城”を侵食しそうだ。 SAP/R3と国産ERP製品の両方を販売するシステムインテグレータの1社は、「ビーワンの登場で当社のERP戦略は見直される」と打ち明ける。同社に限らず、中堅ERP市場に対する戦略変更を迫られているインテグレータは多い。これまで、大企業と中堅・中小企業向けで棲み分けが図られてきた国内ERP市場は、SAPジャパンの新展開で一気に“戦国時代”を迎えそうだ。
国内ERP(統合基幹業務システム)市場をSAP製品で塗りつぶす──。大企業のERP市場を主戦場としてきたSAPジャパン(藤井清孝社長)が、チャネル販売を主体にSMB(中堅・中小企業ビジネス)市場の開拓に照準を定めた。今夏には、中小企業向けERP製品の出荷を計画しており、大企業から中小企業まですべてをSAP製品で染めるつもりだ。これまで「中堅・中小企業は、他社のERPに任せていた」(関谷泰朗副社長)が、今後は国産ERPベンダーや、「新ERP」陣営の業務ソフトベンダーの〝牙城〟を攻める。SAPのERP製品を扱ってきた中堅システムインテグレータもこの動きに呼応して、中堅・中小市場戦略の見直しを始めている。
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