その他
ウェブ販売での差別化が焦点 大手ディストリビュータが相次ぎリニューアル
2004/03/22 15:00
週刊BCN 2004年03月22日vol.1032掲載
システム構築のスピードアップや低価格化など、企業向けビジネスの変化は早い。ビジネスの最前線に立つシステム販売会社などのパートナーからの要求に応える形で、この半年間、大手ディストリビュータ各社は相次ぎ、会員専用のウェブ販売サイトを大幅に機能アップした。仕切価格や在庫情報の提供、24時間365日の受発注機能はもとより、業種・業態別ソリューション事例やハードウェア、ソフトウェアと連携した各社独自のディスカウントした特価商材や特定期間限定のキャンペーン商品など、付加価値の高い情報を適宜拡充している。各社ともウェブ販売サイト経由で受注した売り上げの割合は、全パートナー販売の10%に満たないが、有力な営業ツールとしての活用価値の高さを再認識し、機能の差別化を強化している。
物流費削減や販社対応のスピードアップで ■見積や検索の機能を強化、パートナーとの連携図る 大塚商会は2月1日、3年前に立ち上げた取引先専用会員ウェブ販売サイト「BPプラチナ」をリニューアル。スタート時期では「他に遅れをとった」(海老塚誠・ビジネスパートナー事業部企画販促課長)が、他社と同様に見積・注文書の作成や発注機能を新たに搭載した。「遅れた分、他社のサイトを研究し、当社の強みのIT導入事例など、他社にはない販売ノウハウが加わり充実した」(同)と、同社パートナー販売の約2割をウェブ上からの受注でまかなう考えだ。 2000年5月に受発注機能を持つ「インターネット対応型販売支援システム」と銘打ったウェブ販売サイト「BACK OFFICE SERVICE SYSTEM(通称・ボス)」を構築した丸紅インフォテックも、昨年10月にアイテム数や機能の増大により、「パフォーマンスが限界に達した」として、ウェブシステムを再構築。検索機能などを強化して新たに「ボス2」を開設している。 丸紅インフォテックは、コンシューマ製品も扱っているが、「法人向けは、金額ベースで約10%がボス2経由で受発注されている」(鈴木聡・コーポレート営業推進部企画課長)と、企業向け販売でのウェブ経由の割合は増加傾向にあるという。利用頻度が高くなってきているものの、同社では「ボス2は、あくまで当社の営業担当が販売パートナーに対し効率良く情報提供するための営業ツール」(坂元祥浩・コーポレート営業推進部長兼広域パートナー支援グループ長)という位置づけ。 販売パートナーはボス2上で情報を仕入れ見積書を作成するが、支払いや決済は仕入れ先の企業が行う。このため同社は、最終的な決済を確実に得るため、「当社のウェブEDI(電子データ交換)を導入するエンドユーザーを増やす」(坂元部長)ことがボス2の役割としている。 同じ丸紅グループでソフト流通卸をビジネスにしているコンピュータウェーブも、01年7月に開設したソフトライセンス販売支援サービスのウェブ販売サイト「ウェーブコンタクト」を順次機能アップさせている。 02年3月には、ソフト情報に加え受発注機能「S-CAT/L(エス・キャット・エル)」を追加。今年2月末には、「パーソナライズ機能」という同社の全営業担当者が個々に作るコンテンツページを立ち上げた。これは営業担当者が、ソフトベンダーなどから得たディスカウント価格やセット販売の情報を、各自が担当する販売パートナーのみに提供するシステム。同社内のグループウェアで営業担当者が日々更新している。■アイテム数や登録会員数が増加、特価商材の迅速な情報提供が重要 コンピュータウェーブの高橋慶・コーポレート営業本部長兼コーポレート営業3部長は、「ソフトベンダーが特定時期の商戦に向けて発信する情報を組み合わせ、各販売パートナーのニーズに合わせカスタマイズして個別に情報提供している。販売パートナーが、エンドユーザーが持つライセンスを管理する既存システムと合わせ、きめ細かいサービスを提供できている」と、自信を見せる。ただ、同社も丸紅インフォテックと同様に、「最終的には、当社のEDIをエンドユーザーへ拡大することを図る」(高橋部長)ということをウェーブコンタクトの主目的に置く。新鮮な情報をいかに的確に更新できるかが、販売パートナーやエンドユーザーとの関係を強化する上で、重要になるわけだ。 ウェブ販売サイトの開設では、“老舗”になるダイワボウ情報システム(Dis)は、「利益を出す体質にするため、物流費について徹底したローコストオペレーションを実行する」(松本紘和社長)という号令のもと、00年7月に開設したウェブ販売サイト「韋駄天」についても改定を検討中だ。全国73か所の営業拠点と販売パートナーを連動させた受発注機能や情報提供の見直しを開始している。今のところ、「アイテム数を増やし情報量を拡充するほか、夜遅くのウェブ受注でも翌朝にメーカーへ発注できるようリードタイムを短縮する」(経営企画室)ため、今年8月にも韋駄天をバージョンアップさせる予定だ。 一方、アイテム数で他社を上回るソフトバンクBBが運営するハード・ソフトのウェブ販売サイト「ITエクスチェンジ」は、00年5月の開設以来、販売パートナーの要望に応えて随時、機能を強化してきた。大手ディストリビュータ各社のウェブ販売サイトで手本となった見積り、注文、在庫情報などの基本機能は“スタンダード”ともなっている。現在では、約4000社のハード、ソフトメーカーの商材を扱っており、取扱数では群を抜く存在。 大手ディストリビュータがここにきて、こぞってウェブ販売サイトの拡充を打ち出す背景には、エンドユーザーの低価格化ニーズが高いなかで、ハードとソフトメーカーが特価商材を提供する割合が増しているためだ。このため、販売パートナーに対しこうした情報を迅速に伝える手段としてウェブ販売サイトの重要性が再認識されている。各社が扱う商材のアイテム数や登録会員数は、ここのところ増加の一途。販売だけでなく、ウェブ上の情報発信により付加価値をいかに提供できるかが、企業向けシステム販売のカギになっている。
システム構築のスピードアップや低価格化など、企業向けビジネスの変化は早い。ビジネスの最前線に立つシステム販売会社などのパートナーからの要求に応える形で、この半年間、大手ディストリビュータ各社は相次ぎ、会員専用のウェブ販売サイトを大幅に機能アップした。仕切価格や在庫情報の提供、24時間365日の受発注機能はもとより、業種・業態別ソリューション事例やハードウェア、ソフトウェアと連携した各社独自のディスカウントした特価商材や特定期間限定のキャンペーン商品など、付加価値の高い情報を適宜拡充している。各社ともウェブ販売サイト経由で受注した売り上げの割合は、全パートナー販売の10%に満たないが、有力な営業ツールとしての活用価値の高さを再認識し、機能の差別化を強化している。
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