その他
NTTドコモ、事業計画は減収減益? 新たなビジネスモデルを模索
2004/05/24 15:00
週刊BCN 2004年05月24日vol.1040掲載
NTTドコモ(立川敬二社長)が、第3世代携帯電話で本格的な攻勢を開始した。今年度(2005年3月期)の「FOMA(フォーマ)」の累計加入目標数は1060万契約。今年3月末時点の305万契約から、一気に700万の加入増を目指す。4月の第3世代携帯電話の月間純増数は53万と、auの第3世代携帯電話「CDMA2000 1x」の48万8700人を抜き、初めて首位を獲得。出足の良さを見せている。だが、第3世代携帯電話事業の本格化とともに、新たなビジネスモデルへの転換も求められている。転換に向けて、今年度は減収減益という“異例”の事業計画も発表した。ドコモは果たしてどう変わるのか。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
収益の柱を回線収入から手数料収入へ
■FOMA加入1000万突破が目標
NTTドコモの立川社長は、「今年はFOMAにとって、ホップ・ステップ・ジャンプのジャンプの年になる」と話す。その言葉通り、今年度末にはFOMA加入1000万突破を目指し、第3世代携帯電話で先行するauとの差を一気に縮めたい考えだ。
もちろん、体制づくりにも余念がない。今年2月に投入したFOMA最上位の「900iシリーズ」の投入に加え、今年度下期にはその後継機となる「901iシリーズ」の商品化や、非接触型ICカード「Felica(フェリカ)」の機能を搭載したモデルの投入なども予定している。また、人口カバー率もすでに99%を突破。小型基地局の設置によって、地下街などでの接続環境の整備は第2世代の「PDC」とは比べものにならない速度で進んでいる。
今年6月には、月額6700円以上の通話利用者に限定しながらも、「当初の予定よりも前倒し」(立川社長)でFOMAのパケット通信定額制導入に踏み切り、利用者拡大に弾みをつける考えだ。
だが、FOMAの事業拡大とともに、ビジネスモデルの大きな変革が求められている。
これを裏付けるように、立川社長は携帯電話の普及段階を大きく3つに分類し説明する。
第1段階が、音声通話を主体にした携帯電話の普及である。ドコモでは、これを「通信インフラ世代」とし、いかに通話のトラフィック(通信量)を上げるかが収益拡大の手法だった。ドコモをはじめとする各社では、通話料金を徐々に引き下げながら加入者を増加。これによってトラフィックを増やす仕組みとした。
第2段階が、iモードの登場によって生まれたインターネット接続をベースにした「ITインフラ世代」だ。通信のトラフィックの増加に加えて、iモード向けのコンテンツ提供のためにコンテンツプロバイダと連携。ここで発生するコンテンツ利用料金の代行徴収手数料が収益確保の手段となっている。
そして3段階目が、今後のFOMAの浸透と、端末に搭載された付加価値機能によって提供される「生活インフラ世代」である。これを、立川社長は「リアルとの連携」という言葉で表現する。
銀行で預金を引き落としたり、交通機関の利用やショッピングの際にも携帯電話の決済機能を活用したりといった、日常的に携帯電話の付加機能を利用できる環境を提供。ここで発生する手数料収入やライセンス収入を新たな収益源とする予定だ。
■トラフィックビジネスからの脱却
だが、こうしたビジネスモデルの転換に向け、定額制の導入は必須でもある。ドコモでもリアルの利用では、その都度、回線使用料金などを課金する従来の方式だと、普及や利用促進の実態にそぐわないと判断している。
今年度のドコモの決算見通しは減収減益となっている。この背景には、定額制への大幅な移行を見込んでいることが大きく影響している。立川社長も、「減収は過渡期としては仕方がない」として、今年度は第3段階への移行のために仕掛けづくりを優先する考えを示している。つまり、ドコモはトラフィックだけのビジネスから、手数料収入などを収益の柱とする新たなビジネスモデルの土台を今後1年で構築する考えだ。
「ARPU(端末機1台あたりの平均収入)の議論は、これからは適さなくなる」と立川社長が話すのも、回線収入以外の比率が増加すると見ているからだ。
今年度のドコモの減収減益予想は次の飛躍に向けた準備といえる。だが、6月からの中村維夫社長体制への移行を考えると、新体制はマイナススタートを余儀なくされるのも間違いない。
NTTドコモ(立川敬二社長)が、第3世代携帯電話で本格的な攻勢を開始した。今年度(2005年3月期)の「FOMA(フォーマ)」の累計加入目標数は1060万契約。今年3月末時点の305万契約から、一気に700万の加入増を目指す。4月の第3世代携帯電話の月間純増数は53万と、auの第3世代携帯電話「CDMA2000 1x」の48万8700人を抜き、初めて首位を獲得。出足の良さを見せている。だが、第3世代携帯電話事業の本格化とともに、新たなビジネスモデルへの転換も求められている。転換に向けて、今年度は減収減益という“異例”の事業計画も発表した。ドコモは果たしてどう変わるのか。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
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