米コンピュータ・アソシエイツ・インターナショナル(CA)が5月23-27日の5日間、米ネバダ州ラスベガスで年次カンファレンス「caworld2004」を開催した。今回は、開幕直前に経営陣の大幅な入れ替えがあり、パートナー企業や顧客企業が抱く懸念の払拭に力を注いだカンファレンスだった色合いも濃かったが、「マネジメント・ソフトウェア」をコンセプトにソフトウェア市場でのシェア拡大戦略を打ち出すなど、“攻め”の姿勢も崩さない。新規顧客を開拓するため、パートナービジネスの拡大にも力を入れていく。(佐相彰彦)
■「新しい幕開け」を宣言 「caworld2004」の参加者は、顧客企業やパートナー企業など世界各国から約1万人と、昨年の2万人に比べ 半分に減少した。関係者によれば、「厳選して参加者を募った」という。米CAでは、開幕直前の4月21日に不正会計疑惑でCEOのサイジェイ・クマー氏がトップを退き、4月26日付でケネス・D.クロン氏が暫定CEOとして就任したほか、経営陣が大幅に入れ替わる騒動があった。
このため今回は、不祥事による経営陣の入れ替えなどが今後のビジネスに何も影響しないことを、パートナー企業や顧客企業などにアピールする場としてカンファレンスを開催した色合いが濃かったといえる。
米CAが今後も安定したビジネスを展開していこうという意気込みは、開幕直後のクロン暫定CEOによる基調講演でも鮮明だ。クロン暫定CEOは、「会計処理の問題や経営陣の入れ替えなど厳しい局面を迎えたのは事実」と冷静に述べながらも、「しかし、当社は人材をはじめ技術、製品などの面で強い力をもっている」と言明。新しい経営陣のもと、今後も新しい製品やソリューションを提供していくとして、「caworld2004」の開催は「新しい幕開けでもある」と公言した。

■「第4の波」が到来 
米CAが「caworld2004」で掲げたコンセプトは、「マネジメント・ソフトウェア」。これは、各企業内に導入されている同社のシステムやさまざまなソフトウェアの統合化を図ることで、オンデマンド・コンピューティングを実現していくというものだ。
クロン暫定CEOは、「企業のシステム環境は、メインフレームの時代から分散コンピューティング、インターネット化へと変化を遂げてきた。現在は第4の波としてマネジメント・ソフトウェアの時代が到来しつつある」としており、時代の波に合わせた製品を提供することで、マネジメント・ソフトウェアのリーディング・カンパニーになると断言する。
最適な製品を提供するうえで核となる技術戦略について、米CAの中心人物であるヨゲッシュ・グプタCTO(最高技術責任者)も、「変化の波に合わせたイノベーション(革新)を提供する」と、激変する市場環境をにらみながら、それに合った最新技術を駆使した製品を発売していくことで、顧客企業のビジネスプロセスそのものを改善していく方針を打ち出した。

データ量が膨大化することで、企業内のシステム環境はますます複雑化している。「これを乗り越えるために、企業では人員を増やすことにお金を費やしている」(グプタCTO)と、システムが複雑になればなるほど内部コストが増える傾向にある点を指摘。そのうえで、「マネジメント・ソフトウェアがこうした環境に対応できる企業体質を作り上げる」(同)とし、それを可能にするのがCAのソフトウェアだと強調する。
米CAは、現段階ではマネジメント・ソフトウェア市場への参入企業が少ない分、開拓する需要が多くあるとみており、「マネジメント・ソフトウェアは大きなチャレンジ。統合化や自動化、オープン化などさまざまな点で完全なマネジメントを提供できる。当社は、他社が競争しているラインより2歩先を進んでいる」(同)と自信を見せる。
■チャネルとの連携を強化
これまで米CAは大企業を中心に顧客企業を獲得してきたが、マネジメント・ソフトウェア分野で主導権を握るためSMB(中堅・中小企業ビジネス)の拡大を図ることも視野に入れる。中堅・中小企業の顧客増に向け、「チャネルパートナーとの連携をさらに強化していく」(クロン暫定CEO)ことを徹底する方針だ。
販売パートナーへの支援策については、ワールドワイドの技術支援組織として「CAテクノロジーサービス(CATS)」をこのほど設置。同組織は、CAの営業担当者がパートナーの営業担当者と同行し商談を進める営業支援や、受注後に行うシステムの設計や導入などを支援する。これにより、パートナーが大型案件を獲得できる体制を整えた。
パートナービジネスを進めていくうえでポイントになってくるのが日本市場だという。CAの日本法人では、チャネルを通じたビジネスに特化した事業を展開しているためだ。CA日本法人の三ツ森隆司社長は、「日本のビジネスモデルを米国本社が採用するケースが出てきている」と強調する。
これによりCAでは、ワールドワイドの売上構成比で現在10%程度のパートナービジネスを、近い将来、30%にまで引き上げていく方針だ。