その他
エディオン、売上規模拡大に乗り出す 05年4月、ミドリ電化と事業統合
2004/06/07 21:12
週刊BCN 2004年06月07日vol.1042掲載
エディオンが売上規模の拡大を目的に、ミドリ電化との事業統合に乗り出した。2003年度(04年3月期)におけるエディオンとミドリ電化の売上高を単純合算すると6563億7600万円。これを3年後に1兆円規模まで引き上げる計画だ。昨年度までは、デオデオとエイデンの2社を統合し、仕入れの一本化や商習慣の共通化など基盤固めに力を注いだ。02年3月29日の設立から2年を経て、統合効果は今年度から発揮される見通し。ようやく固まった基盤をミドリ電化との統合後に一から見直す可能性も出てきた。(佐相彰彦●取材/文)
課題は基盤固めの迅速化
■商品の一括仕入れで利益増へ
エディオンの03年度(04年3月期)連結決算は、売上高が4341億6600万円、営業利益58億2500万円、経常利益102億700万円、最終利益が30億1700万円になった。02年度は、売上高が4428億5700万円、営業利益57億9400万円、経常利益94億6500万円、最終利益が23億9000万円。この年度は、決算の対象期間が02年3月29日-03年3月31日と変則決算だったため前年度増減率を比較できないものの、単純にみれば減収増益という結果だ。
売上高が伸びなかったのは、新規出店数の7店舗および移転・建て替え店舗数の7店舗に対し、閉鎖店舗数が18店舗と多かったことによる販売ボリュームの縮小が要因。久保允誉社長は、「不採算店や小型店を閉鎖した」と、短期的には売上高が減少するものの、中長期的には売上高が増える事業戦略であることを強調する。
「不採算店舗については、関東地区や東海地区のコンプマートを中心に、今年度上期までに10店舗を閉鎖する。その一方で、新規出店を11店舗と増やし、全面リニューアル店舗数が5店舗と採算の合う店舗を増やす」としている。
利益が増加したのは、「デオデオとエイデンの統合効果が出て、無駄なコストが削減できた」ことが要因。なかでも、商品の一括仕入れによるコスト削減効果が大きい。また、オリジナル商品に関しては、02年度は全体の販売額に占める割合で18.5%だったのに対し、03年度は28.6%まで増えた。今年度はこの比率を35.0%まで引き上げる。
ほかにも、エイデンとデオデオそれぞれが持っていた仕入れ部門を排除し、今年度からエディオンが商品仕入れを一括して行う体制を整備し、仕入れルートを一本化する。加えて、エディオンと上新電機、デンコードー、サンキュー、ミドリ電化の5社で構成されるボイスネットワークグループの仕入れとエディオン内での仕入れを合わせて、「(メーカー製の)プロパー商品については、一括で調達する商品の割合を販売金額の15%にする」方針だ。
久保社長は、「昨年度は、エディオンとしての基盤を固めた年だった。今年度は統合効果を充分に発揮できる」と見ている。今年度連結業績見通しは、売上高が前年度比8.3%増の4700億円、営業利益が同13.8%増の66億円、経常利益が同9.7%増の112億円、最終利益で42.5%増の43億円を見込む。
■今年度の増収増益がカギ
昨年度中にデオデオとエイデンの統合により事業基盤を固めたエディオンは、兵庫県を本拠地とするミドリ電化と05年4月に事業統合することを明らかにしている。これは、売上規模を拡大することで家電量販でのプライスリーダーになることと有利な仕入れ条件を獲得するなど、マーケットでの主導権を握ることが狙い。昨年度(04年2月期)におけるミドリ電化の売上高は、前年度比7.0%増の2222億1000万円。エディオンの昨年度の売上高4341億6600万円と単純合算すると6563億7600万円となり、ヨドバシカメラ、コジマを抜いて業界2位に踊り出る。今後、エディオンとミドリ電化の双方が業績拡大に力を入れ、「3年後(07年度)には1兆円の売上規模を目指す」ことが当面の目標だ。
統合を推進する背景には、「ヨドバシカメラが大阪・梅田に巨大店舗を出店したが、ミドリ電化は近畿地区を中心に6000─8000平方メートル級の大型店舗の売上額が150億円前後と衰えていない」というミドリ電化の競争力への期待がある。ミドリ電化が持つ大型店舗の売上高を増やすノウハウをエディオンに吸収することで、「出店している各地域でトップシェアを獲得できる店舗を構える」(久保社長)つもりだ。
課題は、ミドリ電化との統合後も業績を順調に伸ばせるかどうかだ。02年3月29日にエディオンとしてスタートして以来、基盤を固めるまで2年かかった。久保社長は、「確かに、2年間というのは我慢の時期だった。統合の難しさが分かった」と認める。
デオデオとエイデンの統合効果を出せるようになった矢先、ミドリ電化との統合で再度社内の組織など事業基盤の見直しを迫られる可能性が高い。まずは、今年度に業績予想通りの増収増益を達成しなければ、統合効果のメリットは、見い出せないだろう。
エディオンが売上規模の拡大を目的に、ミドリ電化との事業統合に乗り出した。2003年度(04年3月期)におけるエディオンとミドリ電化の売上高を単純合算すると6563億7600万円。これを3年後に1兆円規模まで引き上げる計画だ。昨年度までは、デオデオとエイデンの2社を統合し、仕入れの一本化や商習慣の共通化など基盤固めに力を注いだ。02年3月29日の設立から2年を経て、統合効果は今年度から発揮される見通し。ようやく固まった基盤をミドリ電化との統合後に一から見直す可能性も出てきた。(佐相彰彦●取材/文)
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