経済産業省、電子商取引推進協議会(ECOM、張富士夫会長=トヨタ自動車社長)、NTTデータ経営研究所(若山彰社長)の3者は、2003年の「電子商取引に関する実態・市場規模調査」の結果をこのほどまとめた。それによると、日本のBtoB EC(企業間電子商取引)市場は2003年に77兆4320億円と、80兆円に迫る規模に達し、前年の46兆3070億円に比べ67.2%の大幅増となった。一方、BtoC EC(消費者向け電子商取引)の市場規模も、前年の2兆6850億円に対し64.8%増の4兆4240億円と、こちらも6割を超える大幅な伸びとなった。
消費者向けも65%の伸びに
■BtoBでは「自動車」がトップ この調査は1998年から実施しており、今回で6回目。第1回の98年ではBtoB EC市場が8兆6200億円、BtoC EC市場が645億円だったことから比較すると、この5年間で市場規模は、それぞれ9倍、69倍に拡大したことになる。政府のe-Japan重点計画では、03年の達成目標として「BtoB ECで70兆円程度、BtoC ECで3兆円程度を大幅に上回る」と掲げられていたが、この目標値もクリアしたことになる。

03年のBtoB EC市場規模を産業別にみると、「自動車」が28兆490億円(前年比62.6%増)と最も大きく、次いで「電子・情報関連機器」の24兆2940億円(同22.9%増)などとなっている。
また、伸び率の大きさでは、「金融・保険サービス」が前年比約983倍の3兆9340億円となったほか、「建設」が同563.4%増の3兆5490億円、「食品」が同537.7%増の1兆4030億円、「鉄・非鉄・原材料」が同379.2%増の5兆3670億円だった。
■ECが経済活動に定着
一方、BtoC ECでは、公営競技のネット投票を含む「各種サービス」(前年比4830億円増)、「不動産」(同3020億円増)、「旅行」(同2090億円増)、「エンタテインメント」(同1450億円増)、「趣味・雑貨・家具」(同1400億円増)が市場拡大に寄与した。
調査結果についてNTTデータ経営研究所の小田島労・取締役ソーシャル・イノベーション・コンサルティング本部長は、「ネットバブルの崩壊があったにもかかわらず、市場が順調に拡大しているのは、ECが経済活動に定着してきたことの証」と分析。

そのうえで、BtoB ECについては「自動車分野ではメーカーから販社へのEC販売や、部品メーカーのEC調達などが拡大に寄与している。また、電子・情報関連機器では中小サプライヤーへとECの裾野が広がっている」と見ている。
なお、BtoB ECの市場規模に関しては今回の調査から、それまでの調査対象だったインターネット利用によるECに加え、VAN(付加価値通信網)などによる従来型EDI(電子データ交換)取引も対象範囲とした「広義のEC」についても推計を開始したところ、その市場規模は157兆1030億円に上ることが分かった。