その他
東芝、新ブランドPCで巻き返しへ ノートパソコン「コスミオ」発売
2004/07/26 21:12
週刊BCN 2004年07月26日vol.1049掲載
東芝(岡村正社長)は、新ブランドのノートパソコン「Qosmio(コスミオ)」を8月6日に投入する。西田厚聰・PC&ネットワーク社社長が、「東芝のノートパソコン事業にとって第5フェーズに突入する節目となる製品」と語るように、同社にとって重要な意味を持つ製品となる。今後のパソコン事業の成長を担う戦略製品であるとともに、昨年度(2004年3月期)に赤字転落し、かつてのノートパソコン世界トップから第3位にまでシェアを落とした同社にとって、いわば“起死回生策”と位置付けられる製品だ。コスミオによって東芝のパソコン事業はどう生まれ変わるのだろうか。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
黒字転換、シェア奪回の切り札に
■PCとAV機能を「融合」
7月22日、東芝はパソコンの新ブランド「コスミオ」を発表した。
今年4月の中期経営計画発表の席上で、岡村社長が「夏以降にはAV(音響・映像)機能に特化した『AV PC』を投入する」と宣言していたが、それがこのコスミオであり、今後の同社パソコン事業の柱になる製品と位置付けられているのだ。
コスミオの最大のポイントは、従来の製品がパソコンにAV機能を「統合」した製品であるのに対し、今回の製品は「ダイナブック」で培ったパソコンに関する様々なノウハウと、家電/AVメーカーである東芝の“画づくり、音づくり”のノウハウを「融合」した製品である点が異なると、同社では説明する。
東芝は01年10月、青梅工場(東京都青梅市)内に「デジタルメディア開発センター」を設置し、パソコン部門とAV部門の技術者を1つの建物の中に集結させ、技術面での交流が行いやすい体制を構築した。その体制をもとにさらに相互交流を進めた結果、誕生したのがこのコスミオだと言っていい。今年1月にコスミオプロジェクトを発足。さらに、同プロジェクト内に「PC画質改善委員会」を設け、パソコンとAVの双方の技術者が参加して、パソコンの画づくりにAVの技術およびノウハウを積極的に取り込んでいった。
同社では、今回の製品は液晶テレビに負けない画質を実現したと自負する。液晶の輝度も、今年夏モデルでシャープの「メビウス」が採用した500カンデラを上回る600カンデラを搭載。従来から採用している「harman/kardon」のステレオスピーカーも、約2倍の大口径となる30ミリとすることで最大出力/最大音量、低音域の再生にも威力を発揮することになった。
同社の言葉を借りれば、これまでの製品は、あくまでもテレビパソコンの範疇の製品であり、これに対してコスミオは、AV技術をベースにした「AV PC」という従来とは一線を画する製品だと強調する。
■デジタルプロダクツ事業の柱に
その東芝は今年度(05年3月期)、パソコン事業で一気に黒字化を狙う計画を掲げる。
同社の中期経営計画では、デジタルプロダクツ事業が成長の柱の1つとされており、その中核的役割を担うのがパソコン事業である。その意味でも、早期の黒字化が命題というわけだ。
今年1月にPC&ネットワーク社を設立以降、同社は70日プロジェクトの名称で体質改善に取り組んできた。その具体的な成果がいよいよコスミオによって形となり、今後は成長戦略へと打って出ることになる。また、ODM(オリジナルデザインマニュファクチャラー)を活用した普及価格モデルの製品強化も、黒字化およびシェア獲得に向けた重要な布石といえる。
コスミオは今後、(1)ブロードバンドAVコンテンツを実現するパーソナル端末、(2)モビリティ型の端末、(3)ホームサーバー──の3つの方向へ進化するという。一方で、リビングの主役は大型テレビに譲るが、そこから個人が家庭内を自由に持ち運んで楽しむパーソナルAV領域ではコスミオが活用されると棲み分けているのだ。
東芝は、パソコンおよび周辺機器事業の黒字転換のめどを下期としている。そして、そのカギを握るのはコスミオの立ち上がり次第だといえそうだ。
東芝(岡村正社長)は、新ブランドのノートパソコン「Qosmio(コスミオ)」を8月6日に投入する。西田厚聰・PC&ネットワーク社社長が、「東芝のノートパソコン事業にとって第5フェーズに突入する節目となる製品」と語るように、同社にとって重要な意味を持つ製品となる。今後のパソコン事業の成長を担う戦略製品であるとともに、昨年度(2004年3月期)に赤字転落し、かつてのノートパソコン世界トップから第3位にまでシェアを落とした同社にとって、いわば“起死回生策”と位置付けられる製品だ。コスミオによって東芝のパソコン事業はどう生まれ変わるのだろうか。(大河原克行(ジャーナリスト)●取材/文)
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