ソフトバンクBB(孫正義社長兼CEO)は、法人向け流通事業で、中堅・中小企業向けビジネス(SMB)を本格化する。中堅・中小企業に受け入れられやすい商材をピックアップし、その製品に特化したセミナーや、マーケティング情報の提供などの支援活動を展開。中堅・中小企業を顧客に持つシステム販社からの受注を増やす。第1弾として、サイボウズ(高須賀宣代表取締役)のグループウェアに照準を定め、同製品の取扱高を昨年度(2004年3月期)実績の約2倍に増やす計画だ。今後、セキュリティやブロードバンドといった成長分野でも同様の施策を打っていく。
第1弾はサイボウズ製グループウェア

ソフトバンクBBは、100-250人規模の中堅・中小企業を顧客に持つ全国のシステム販社が売りやすい商材を選び出し、その商材に特化した販社向けのプロモーションを展開。販社には、マーケティング情報の提供や共同営業などのサポートを行うことで、受注を増やしたい考えだ。各カテゴリーの中で、中堅・中小企業に適した商材を価格や機能面などで検証し、その製品に特化したセミナーや大規模な広告展開などを行っていく。
SMBは、潜在需要が眠っているといわれながらも、実需に結びついていないのが現状。「中堅・中小企業はIT投資額が少ないなかで、何を求めていて、どんな商材を提案するのがベストか、不明確な面が強い」(中堅システムインテグレータ)との声もある。ソフトバンクBBでは、中堅・中小企業に適した製品を選び出し販売支援を行うことで、まずは特定商品で販社との実績・信頼関係を築き、その他の製品拡販にもつなげていく。
ソフトバンクBBの高瀬正一・流通事業本部東日本コーポレート営業統括部統括部長は、「これまで、中堅・中小企業を顧客に持つ販売パートナー向けの拡販施策が手薄だった。パートナーが売りやすい環境を整えることで需要を掘り起こす」とSMB戦略を話す。
中堅・中小企業向けに売り込む第1弾として選んだのが、サイボウズのグループウェア。中堅・中小企業向けグループウェア「サイボウズOffice 6」を中心に、サイボウズ製グループウェアの取扱高を、昨年度実績に対し約2倍に増やす計画を打ち出している。
高瀬統括部長は、「中堅・中小企業のIT化において、キラーアプリケーションになるのはグループウェアと判断した。各種グループウェアの中でも使い勝手が良く、細かいトレーニングの必要もないサイボウズ製品は、中小企業を顧客に持つパートナーにとって最も売りやすい商材」と説明。「サイボウズがまだ直販のみのビジネスの頃から、地方の販売パートナーから当社に問い合わせがあり、ニーズは証明済み」と自信を示す。
ソフトバンクBBでは、パートナーに対するサイボウズ製グループウェアの紹介セミナーを、全国8か所・計9回の予定で今月中旬から始めており、合計で400社・500人の参加者を見込んでいる。
セミナー参加企業の中から、各都道府県に1社程度の割合で50社の有力販社を選び出し、その50社に対しては個別の共同営業活動などで手厚くサポートする。「東京、大阪、名古屋などの主要都市だけでなく、全国を網羅する流通体制を築く」(ソフトバンクBBの石川裕司・流通営業本部ソリューション統括部ソリューションマーケティング部部長)方針だ。
また、ソフトバンクBBの販社向けECサイト「IT-Exchange」上のバナー広告を今月21日から2週間、すべてサイボウズの広告にするなど、大々的なプロモーション活動も展開する。
サイボウズの山本裕次・執行役員営業統括責任者兼エージェント事業部カスタマー本部長は、「直接販売から間接販売への移行を進めている当社にとって、ソフトバンクBBの販売網を生かせることは大きなチャンス」と期待する。
ソフトバンクBBでは、今後グループウェアだけでなく、セキュリティやブロードバンド関連製品といった分野でも、グループウェア同様の施策を展開していく計画。中堅・中小企業を顧客に持つ販社の支援策を積極化させることで、SMBを拡大させていく。